星08 遺跡攻略の後のお決まり
そういうわけで無事にガーゴイルを撃破。
試験をクリアして、ついでに破壊王の称号を一つ得てしまったステラだが、話はそれで終わりではなかった。
ステラ「急いで逃げないと、まき添えになっちゃうわ」
ニオ「遺跡踏破の後に崩れるとか、ほんとお決まりのパターンだね!」
崩壊しだした遺跡の中から抜け出す必要があったのだ。
背後で冗談みたいに思い石材がごっとんごっとんと音を立てて落ちていく。
ステラ達はその中を、全力で出口に向かって走っていた。
ツェルト「俺、こんなに生きた心地がしないの始めてだ」
ライド「奇遇だな。ツェルト、俺もだ」
ニオ「もう、ツェルト君もライド君も、遠い目してないで走って走って。じゃないと潰されちゃうよ!」
刻一刻と、死のタイムリミットが迫る中で、途中で何度かダウンしそうになりながらも互いに励まし合い、どうにか最初に入ってきた入り口付近まで辿り着く事ができた。
後は、真っすぐになっている通路を走り終えるだけだ。
ステラ「皆、ここまできたらもう安心よ!」
後は走るだけ、とそう言うのだがその言葉にニオが顔を青くする。
ニオ「それだめ、ステラちゃん。ここまで来たらもう大丈夫よってのは、お話の中でよくある死亡フラグ! ああ、もうだめだニオ遺跡の中でプチってなっちゃうよー」
ステラ「もう、そんなわけないじゃない。ほら、出口はあともうちょっとなんだから。これが終わったら、何か美味しいもの食べましょう」
ニオ「うわーん、それも死亡フラグだよー」
何故だろう。励ましたはずなのに、トドメを刺してしまったようだ。
そ、そんなニオの悲観的想像が影響したわけではないだろうが、今まで背後でしかしていなかった崩落現象が前方で起こり始めた。
ツェルト「うわ、やばくないか」
ライド「ああ、まずいなこれ」
心配はすぐに現実に。
通り抜けるはずだった道が、ステラ達の目の前で崩れて来た天井の石材で埋まってしまったのだ。
ステラ「そんな、どうすれば」
一瞬だけ、パニックになりかけるが、こんな時にこそ冷静にだ。
剣を抜いて、目の前のがれきへ構える。
ニオ「まさか、ステラちゃん、これ斬るつもりなの? そんなの無理だよ」
ステラ「無理って言うのは、諦めた時に無理になるのよ、諦めなければまだ無理なんかじゃないわ」
ニオ「そ、そうかもしれないけど……」
泣きべそをかくニオに言い聞かせて、集中。
時間はない。
崩落の音はもう、すぐ背後に迫ってきているのだ。
ステラ「出来る。きっとできる。私達はここから出るのよ」
先程みたいな攻撃で、がれきを吹っ飛ば差なければならないが、それは強すぎてはダメだ。
かといって弱すぎては、人が通れるほどの隙間を作れない。
「……」
先程の実戦でさえ掻かなかった汗が頬を伝う。
仲間の命を預かっている事が重いプレッシャーとなって剣先を細かく揺らしていた。
こんな有様で、剣を振ったところで、成功するとは到底思えなかった。
けれど、それでもやらなければ。
そう思いながら、腕を動かそうとして、しかしそのがれきが向こう側から吹き飛ばされた。
ステラ「え?」
?「全く、何でこんなところで生き埋めになりそうになってんだか。まったく相変わらず世話が焼けるな」
そこにいたのは剣を持った一人の男性。
騎士学校の教員の服を来た、ツヴァイだった。