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星06 不親切な親切設計



 そんな風にどこにいるとも知れない人に怒りながら進んでいくと、奥へと辿り着いたようだった。


ニオ「やった、これで進級試験クリアだね!」


 ニオが喜ぶが、ステラはそれに待ったをかける。


ステラ「こんなに簡単に行くはずがないわ。まだ何かあるのかも」

ニオ「えー、ステラちゃんも一緒に喜ぼうよ」

ステラ「駄目よ、トラブルは油断した時に起こるんだから」

ニオ「もう、ステラちゃんに剣を教えた人だれ!? こんなに可愛いのに、すっかり歴戦の猛者みたいに用心深くなっちゃって」


 何に対しての怒りツボを付いてしまったのか分からないが、ニオはステラの横でぷりぷりと起こり始めている。

 ステラの怒りでもうつったのだろうか。


 そんな風に思っていると、ツェルトがこちらの内心を言い当てて来た。


ツェルト「いやいや、うつったのだろうかって、病気じゃあるまいし」

ステラ「よく分かったわね、私の考えてる事」

ツェルト「そりゃ、まあ俺はずーっとステラの事見てるからな! 分かって当然だ」


 なるほど、それなら仕方がないのかも知れない。


ライド「いやいやいやいや、何か良い話みたいに展開されてるけど、それ冷静に考えたら怖い話! 何納得してんの剣士ちゃん。ほら、ニオちゃんも何か言ってあげなって」

ニオ「え、どうかしたー?」

ライド「聞いてない!?」


 仲が良いのは結構な事だけれども、試験の最中なんだからもう少し静かにした方が良いんじゃないかしらと、ステラは自分が発端になった事にも気が付かずにそんな事を考えていた。


 遺跡の奥。

 辿り着いたその場所を注意深く調べていく。


 すると、案の定、更に奥へと繋がるような隠し扉を見つける事になった。


ステラ「やっぱり、まだ奥があったのね、おかしいと思ったのよ。簡単すぎたもの」

ニオ「えー、まだあるのー?」

ステラ「それが試験なんだから仕方がないでしょう。行くわよ」


 がっくりと肩を落とすニオを促して、先へと進んでいく。


 遺跡の奥へは、薄暗い通路が続いているようだった。


ステラ「ちょっと、寒いわね」

ツェルト「だったら、俺いい考え思い付いた。俺がステラにくっついて温めるってのは?」


 ツェルトが調子に乗ってそんな事を言いだした。


ニオ「え、ニオちょっとそれ引くかも」

ライド「俺も、さすがにそれは引くわ」

ツェルト「え、俺おかしいか?」


「「それはおかしい」」


 だが、ステラが口を挟む必要はなかったようだ。

 ニオとライドに距離を取られているので、二人の態度に任せておこう。


 気温の低い通路を用心しながら歩いていくと、広い部屋に出た。


 部屋の中には、大きな石像が一体。台座の上に待機している。


 それを見て、ステラは仲間達に問いかけた。


ステラ「……ねぇ、皆あれどう思う」


 石造の向きはこちらを向いている。

 それで、ちょうど通路から出来来た自分達と目が合うような親切設計だった。


 何を思ってこの石像がそんな風に置かれたのか、手に取る様に分かってしまう。これ以上なく分かりやすい位置だった。


ニオ「遺跡の番人じゃないかなー」

ツェルト「門番って感じだな」

ライド「試験官ってやつな」


 ニオ達が三人そろって同じような事を、違う言葉で言った瞬間、見計らっていたかのようにその石像が動き出した。



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