星05 器用
そんな風に、無駄口を叩いたり諫めたりしながらも、順調に前進。
その途中で珍しい薬草が生えていたので、採取して鞄へ収納しておいた。
この作業は試験とは別口だ。
ステラの屋敷が立っている地元で、病気が流行しているのでその為の薬になる薬草を採取しているのだ。
実はこの試験場所はいくつかの候補地から選ぶ事が出来たので、そういう地元の事情を汲んで一石二鳥が出来るこの場所に決めたのだ。
ニオ「ステラちゃんて器用だよねー。薬草とかも取れちゃうんだし、ちゃんと保存できる収納方してるんでしょ? ニオなんか、知識だけ詰め込むのでいっぱいいっぱいだよー」
ステラ「昔、体を悪くしてくれた時に見てくれたお医者さんが教えてくれたのよ。いざという時役に立つだろうって」
ニオ「え、ステラちゃんそんな時があったんだ、へーすっごい意外」
ステラ「小さい頃は、剣を振り回すどころか、外にすら出られなかったわね」
ニオ「ええー!? うそー。びっくりだよー」
驚くニオだが、それらは全て事実だ。
今、ここにステラードがいられるのは、全て先生のおかげ。
先生がいなかったら、騎士なんてとてもじゃないが目指せていなかっただろう。
ニオ「そんな先生だったら一度会ってみたいなー」
ステラ「ええ、私も皆に紹介したいくらい。でもどこにいるのか分からないのよね」
行方は別れてからずっと分からずじまい。
どこかで生きて元気で暮らしているのなら、それだけでも知る事が出来れば良いのだが、現実は非常だ。
ステラ「でも、先生も先生よ。私は屋敷にいるのに、向こうから手紙を書いてくれれば連絡取れるのに」
王宮から追い出されてからのステラの家は全く変わっていないのだから、連絡を取ろうと思えば取れるのに。
もう、最近は悲しさや寂しさが一周回ってちょっとした怒りの領域に突入しつつある、再会した時は絶対にお説教してやるのだ、正座で一時間反省させてやるのだ、と心に誓うくらいだった。
ツェルト「ステラの怒り方ってなんか可愛いよな、和むって言うか」
ニオ「あ、それ賛成、かわいーよね。見てて癒されるよー」
ライド「そうか? 子供っぽいだけじゃないの? あれ」