星41 精霊使い
それから、しばらくシェリカと共に他愛のない話をしていると、姿をくらましていてどこかにいるはずだった先生が話しかけて来た。
ツヴァイ「剣守、いつまでも控室に来ねぇと思ったら。ん……何だステラード、お前もこっちに来てたのか、そんならちょうどいいな」
ステラ「先生? 何やってたんですかこんな所で。いつの間にか教室からいなくなってるし」
ツヴァイ「何って、お前の為にこんな所にいんだろうが」
ステラ「私の為?」
心当たりのないステラは首を傾げるしかない。
何か頼み事をしたわけでもないし、と思っていると、得心が言ったようにシェリカが頷いた。
シェリカ「ああ、なるほど。そう言う事。つまりステラが例の人って事なのね」
ツヴァイ「ああ、そう言うこった。何とか頼めねぇか」
シェリカ「私なら構わないわ。話してて、すごく気に入った。彼女なら大丈夫だと思う」
ツヴァイ「そうか、そりゃ良かった。だそうだ、ステラード解決したな」
そんな風に当人だけで完結させられても困るんですけど。
もう少しちゃんと話をしてくれないだろうか。
できるだけ分かりやすく。かつ客観的に。
ステラ「まだ何にも説明を受けてないんだけど、もうちょっと詳しく話してくれないかしら」
シェリカ「そうね。忘れてたわ。駄目じゃない。私」
あまり今まで話した事は無かったが、これだけはステラでも分かった。
シェリカと言う人は、もしかして天然なのかもしれない。
と、シェリカは神妙な面持ちになって、周囲の様子を伺いながら小声で言葉を伝えてくる。
シェリカ「あまり人には言わないでほしいのだけど、実は私、精霊使いなの」
ステラ「え?」
シェリカ「だから、貴方の呪いを何とかするために契約して欲しいって、貴方の担任に頼まれたの」
ステラ「あ、だから……」
わざわざ、店の番を放ってこのクラスまでやってきたというのか。
そう言う事なら早く行って欲しい。
分かりにくい。説明不足。陰でこそこそしすぎ。
ツヴァイ「まったく、調べるのに苦労したんだぞ。徹底的に隠しすぎだろ」
そのまったくはこちらのセリフだ。
だが、言い返すよりも前にシェリカが擁護の言葉を入れる。
シェリカ「仕方がないわ。聖霊使いの力はとっても便利なもの、世間に知られては色々と不都合が起きるから」
彼女の言う通りだった。
呪いに掛かってからステラも調べた事なのだが、精霊使いは数が少ない。
精霊と契約して特殊な恩恵を受ける彼らは、他の人間には容易にで出来ない事でも簡単に出来てしまうのだから。
色々説教したい事はあるが、まずお礼だ。
ステラ「先生、ありがとうございます。それにシェリカさんも」
シェリカ「シェリカでいい。私もステラって呼んでるから、それに貴方も、妹の事呼び捨てにしてるでしょう」
エルルカ「えっと、それは」
子供だし、子供相手にさん付けするのはおかしいだろうから。
そう思ってエルルカを見つめると、なぜか気まずそうに視線をそらされる。
エルルカ「私、子供じゃないわ。今年で十六だから」
ステラ「え、えええっ」
生半可な事では驚ろいて叫ばないと、ひそかに自負していたステラだが、この時ばかりは衝撃を隠せなかった。




