星33 閉鎖空間
おかしいと思ったのは、それから半時ほど経ったくらいの事だった。
王都の町に帰ろうと思っても、いくら歩いても帰れない、
まるで同じ場所をぐるぐる回っているかのようだった。
ステラ「先生、これって……」
ツヴァイ「残念ながら、そういう事になっちまったようだな」
ステラ達は、王都の外にある森に閉じ込められてしまったようだった。
ツヴァイ「さながら迷いの森ってところか」
ステラ「先生、これどうやったら脱出できるんですか?」
ツヴァイ「精霊に頼み込んで出してもらうしかねぇな」
ステラ「精霊に、ってあの目には見えない精霊にですか?」
ツヴァイ「ああ」
とすると王都の森には精霊がいるのだろうか。
ステラ「でも、見えないはずの精霊の姿がどうして、先生には見えるんですか」
ツヴァイ「それは、色々あんだよ」
聖霊使いというわけではないのに見えるモノなのだろうか。
分からないが、無理に聞き出そうとは思わない。
聞かれたくなさそうだからというのもあるが、なによりどうせ知るなら自分から話してくれる方が良いに決まっている。
ステラ「まあ、良いですけど。それよりこれからどうしましょう」
これがツェルトだったら、棒を倒してあっちに行こうとか言いだしそうだが、今ここにいるのが大人のツヴァイで良かったと思う。
これからどうするつもりなのか。
精霊が見えるとしても、どこにいるか分からななければ意味がないし、闇雲に捜すのだとしても時間がかかりすぎる。
ツヴァイ「そうだな、こんな所で日が暮れちまったら色々と面倒だ。ちょっと無防備になる。周り見とけよ」
ステラ「何するんですか?」
ツヴァイ「言わねぇ」
教えてくれたっていいのに。
私、はぶられるのは好きじゃないのかも。
目をつぶったツヴァイは、何か集中しているようだった。
しばらくそこでじっとしていた後に、目を開けて呟く。
ツヴァイ「精霊はそんなに遠くじゃなさそうだな。ついてこい」
ステラ「え? 居場所分かったんですか」
ツヴァイ「いねぇとこ向かってどうすんだ」
それはそうだが。
ステラ「先生って、何者なのかしらってたまに思うのよね」
医療の知識もあって、色んな所を旅してる旅人で、剣の腕も結構立つ。
それでもって、王族であるステラの専属医師になるくらいの縁があるなんて。
ステラの呟きを拾ったツヴァイは苦々しい表情になって、言葉をもらす。
ツヴァイ「人を人外みたいに言うんじゃねぇ。俺はただの人間だ。出来る事も限界があるし、守れるもんだって、そんな多くはねぇよ」
ステラ「……」
その顔はとても辛そうだった。




