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星25 異変



 捨てないで。捨てないで。

 ごめんなさい。

 ちゃんとするから。

 何でも頑張ってするから。

 だから要らないなんて言わないで。



 



 その日は雨が降っていた。

 雷が鳴り響いている。

 外でやる授業があったのだが、この天気では無理だろう。


 寮から学校に登校してきたステラはぼんやりとする。


 何だろう。最近体がだるい気がする。


ニオ「おはよー、ステラちゃん。ふああ。雨の日って何かどんよりしてるから眠くなっちゃよね」

ステラ「おはようニオ。そうね、ちょっと気分が沈んじゃうし、消極的になっちゃうわよね」

ニオ「うん、なんか物思いに沈みがちになっちゃうって言うかね……」


 他愛ない話をしながら授業が始まるまでのつかの間の時間を過ごす。


ツェルト「おはようステラ。雨の日のステラもステラだな」

ライド「いや、それ意味分かんないっての、ツェルトはどんな天気でも剣士ちゃんの前じゃ変わんないのな」


 その内にツェルトやライドがやってきて、他の生徒も増えて教室が段々と賑やかになっていく。


 いつも通りの教室の光景だった。


 けれど、なぜだろう。


 違和感を感じてしまう。


 水滴の流れる窓の向こう。

 そこに真っ赤な何かが見える。


 上から何か赤い物が流れてくる。


 赤い血が。

 真っ赤な血が。


 流れて、ガラスに伝って落ちて。


ステラ「……っ!」


 跳ねる心臓の音に驚いて、目をこらすがよく見たガラスの窓にそんな物は見当たらない。


ステラ「幻……?」


 今見えたものは幻なのだろうか。


 だが、妙にリアルに見えた。


 じっくり見ようとすると、むせ返るよな血の匂いが鼻につくような気がして……。


ステラ「っ」

ニオ「ステラちゃん? どうしたの顔色が悪いようにめるけど」

ステラ「ごめんなさい、ちょっと気分が悪くなっちゃって保健室に寄って来るわ」

ニオ「えっ! あのステラちゃんが!」


 あのって、どんなステラの事を言ってるのか。

 ステラとて普通の人間なのだから、調子の悪い時くらいある。


 驚くクラスメイトを置いて、ステラは教室を出ていく。


 何故だか分からないが、胸騒ぎがした


 これから良くない事が起きる様な気がして、訳もなく不安になる。


ステラ「どうしよう」


 何がどうしようなのか。分からない。

 原因が分からないまま。混乱していた。


 頭の中が誰かにかき乱されているような気がする。


 このままだと自分がどうなってしまうのか分からなかった。


ステラ「た、たすけて……」


 平衡感覚が失われて視界がぼやける。

 経っていられなくて、膝をついた。


 胸が苦しくて、おさえるけれど、呼吸がままならない。


 肺に酸素が入ってこない、

 動悸がする。

 冷や汗が。


ステラ「助けて。せん……」


 そんな時に真っ先に顔が浮かぶのは、どんな時でも助けてくれると言った人の顔だった。


?「ステラード!」


 最後に倒れる寸前。

 声が聞こえたような気がしたが、幻聴なのかそうでないのか分からなかった。




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