星22 ――二年生――
色々な事があったが、それから数か月無事にステラは二年生へと進級した。
進級と言えば試験の事だが、あれは何とツヴァイが掛け合ってなんとか合格にしてくれたのだ。
やり直しになった試験の事が気がかりだったので、珍しく頑張った先生に感謝が尽きない。
どうにも、あのパーティーの後から調子のすぐれないでいるステラにとっては本当に助かる事だった。
ニオ「調子がすぐれないって言っても、盗賊の集団を一人で追い払っちゃう様な事しておいて、そりゃないでしょーって思うけどね」
二年になって、新しくなった教室のなかで、友人であるニオと談笑すれば、ついこの間の休日の話になった。
乗合馬車を利用して近隣の町へと出かけたステラのなのだが、その最中に盗賊の集団に襲われて、戦闘になったのだ。
ステラ「そう? 全然大した事なかったわよ。威圧して、脅したらすぐに逃げていっちゃうんだもの、他に居合わせた人達の事を考えれば無闇に戦わない方が良かったんでしょうけど、ちょっと拍子抜けだったわ」
ニオ「威圧って、確かステラちゃんが使えるようになった新しい技だよね。何なの? 上から目線で脅したら相手が怯むって。ステラちゃんって前世は、百獣の王だったりするの?」
そんなわけないではないか。
人を危険な猛獣みたいに言わないでほしい。
ツェルト「俺は別にステラが獣でも、肉食動物でも草食動物でも何でも構わないぜ。ステラだったら何でもオーケーだ」
そこで、会話に入ってくるのはツェルトだ。
大抵、ステラが誰かと話していると、ツェルトはよく割り込んでくる。
きっと、寂しがり屋でかまってちゃんなのだろう。
しょうがないからステラは相手をしてやる事にする。
ステラ「心が広いってのはわかったけど、何がオーケーなの?」
ツェルト「え、そこ聞いちゃうのか? い、いいのかこれ話しちゃっても、俺の倫理的に」
一体どんな話をしようとしているのだろう。
しかし、ツェルトが何かを話しだす前に、会話を聞き咎めた生徒が声をかけてさえぎってきた。
イリンダ「そこの変態的な思考を持った男子生徒」
きっちりとした身だしなみをした、几帳面な性格の女子クラスメイトだった。
イリンダ・マティクス。
数字に強い彼女は、クラス委員として、教室内の平穏維持に日々貢献している。
イリンダ「話がしたかったら、貴様一人で廊下で立ってしていろ」
ツェルト「俺一人で空気に話しかけるとか、どんな寂しい光景だよ? 絶えず誰かに突っ込みを入れられる側の俺に突っ込まさせるとか、イリンダはほんと良い性格してるよな」
イリンダ「何か?」
ツェルト「うん、聞こえるように言ったのに、あえて聞き返す所とか」
この二人、なにげに会話のテンポがいいというか、打てば響くみたいというか。
結構いいコンビだ。
イリンダ「ほう、廊下に立ちたい様だな特別に連れ出してやろう」
ツェルト「あ、すいません。ごめんなさい。俺もうちょっとステラと話したいから、見逃してくれよ。お前最近、お前の師匠に性格似てきてるぞ」




