星17 ケンカ腰の駄目教師
そういうわけで、当日を迎えてそのパーティーの日となったのだが、会場入りした後でもステラは驚きを隠せなかった。
ステラ「先生、一体どんな手を使ったんですか」
ツヴァイは何と、仕立ての良い立派な服を来てステラの背後でも斜め横でもなく横に立っていたからだ。
ツヴァイ「何がだ」
ステラ「とぼけないでください。というか、私さっきから何度も聞いてますよね。どうして先生が貴族の身分としてこの会場に入ってこられるんですか」
ツヴァイ「面倒くせぇな。入れたんだから、どうでもいいじゃねぇかよ。文句あんのか」
ステラ「文句は、無いですけど……」
心なしか機嫌が悪そうだった。
眉間にしわが寄っている。
いつもの面倒そうな様子とは違う。
聞きたくないなら、聞かれたくないと素直にそう言えばこちらも大人しく引き下がるのに、どうしてそう不真面目な態度をとるのやら。
ツヴァイ「で、お前のお友達とやらはどこだ。豆腐みたいな軟弱な精神してる引きこもりは」
ステラ「ひどい事言わないでください。怒りますよ。彼女は本当はそんな人じゃないんですから」
ツヴァイ「……そうかよ」
そう言う時も、気まずそうに視線を逸らすんじゃなくってちゃんと謝ってくれればいいのに。
とりあえず予想とは違う形で果たした会場入りの後、友人の姿を探して歩く。
時間が速い事もあり、まだ人の少ない会場内を歩いて数分。
見慣れた姿を発見した。
ステラ「カルネ、久しぶりね」
カルネ「ステラですか。来ていただけないかと思いました」
ステラ「そんな事ないでしょ、他でもないカルネの為なんだもの」
ほっとした様子を見せるのは、ステラより一つ年上の少女だ。
水色の髪に、海の底を思わせる様な青い目をした少女は、柔らかな物腰でステラ達に挨拶をして、自己紹介をする。
カルネ「こちらの方が、貴方の担任の方なのですね。初めまして、カルネと申します」
ツヴァイ「ああ、俺はこの頭の固くて融通の利かない優等生の担任のツヴァンだ。何だ、どんな根暗かと思ったら普通じゃねぇか」
ステラ「ちょっと、先生」
初対面の人間相手にしては、歯に衣を着せない言葉すぎだろう。
いさめるように声を放つが、カルネは気にした風ではなさそうだった。
カルネ「良いのです。本当の事ですから」
ツヴァイ「ま、自覚してるだけましか。で、人の貴重な時間を奪ってくれやがったんだ。しっかり状況説明しろや」
ステラ「先生……。もうっ、どうしてそんなケンカを売る様な態度で話すのよ……」
子供の頃はこんなではなかったと言うのに、再会してからのツヴァンは少々気性が荒くなっている様だった。
相手が誰であろうと、常にこんな調子だから困ったものだ。
それとも子供の頃はもう少し取り繕っていて、だから穏やかだったとか?
気性は荒く、時々けんか腰。
それでも目立った問題は今日まで起きてないので、その失礼な態度が見かけだけの物だとみんな分かっているのだろう。
ただ、そんななので、必ず初対面のシーンは心臓に悪いので控えてほしいと思うのだが、ステラの祈りは無情にも届かなかったようだ。




