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星12 やり直し



 生徒会室


クレイ「ほら、俺の為に働けることを有難く思え」

ライド「横暴だ。ぎゃあ、こんなんできるわけないだろ」

クレイ「そうか嬉しいか、ならもっと書類をはずんでやる。有難く思え奴隷」

ライド「俺はお前の奴隷じゃねぇよ。ふざっけんなぁぁぁ」


 ステラはそんな騒動を聞きながら、あえて何も言わずにそのまま無視。

 生徒会室に運んできた資料を棚の上に置いて退出した


 ツヴァイの机に会った提出用の資料はこれで全部のはずだ。


 ステラは、廊下を歩きながら物思いにふける。


 子供の頃、初めて先生と出会った時の事をついこの間の様に思い出す。


 魔物に襲われて怪我をして、ベッドの上から動けない私の元にやって来たお医者さん。


 顔は怖そうだし、愛想はないし、こんな人で本当に大丈夫なのだろうか、と私はよく思ったものだ。


 その認識が変わったのは一体いつの事だっただろう。





 数日後


ニオ「ええーっ、試験のやり直しーっ!?」


 放課後の教室。 

 ステラが、つい先ほど聞いた教師達の立ち話の内容をニオ達に伝えると、悲痛な叫び声が返って来た。


ニオ「ニオ達あんなに死んじゃうような思いしたんだよ。それなのに、やり直しなの? どーゆー事!

ツェルト「さすがになあ」

ライド「そりゃないわわな」

ステラ「落ち着いてニオ、今からその理由を説明するから」


 感情表現豊かなニオはともかく、ツェルトやライドまでもが困惑している。


ツェルト「なあ、ライド。俺達ちゃんと遺跡の奥まで辿り着いたよな。何かすげぇ守り人って感じの奴倒したし」

ライド「ああ、まあこの目ではっきりと見たわな。でも、だからこそじゃねぇの?」

ツェルト「だからこそ?」


 ツェルトが抱いた疑問に、ライドは自分で考えたなりの答えを述べていく。


ライド「学生である俺達の手に余りあるようなもんをけし掛けちまった。さあ大変。そんなんで生徒が合格になったって表沙汰になったら、学校側が非難されるのは免れないってわけ」

ツェルト「はぁ? そんなのそっちの都合じゃんか。何だよそれ」

ライド「諦めな。大人ってのはそういうもんなの。お偉いさんも。ど? 剣士ちゃんあってる?」


 説明するべき事を全て彼の口から言われてしまったが、手間が省けたと思っておこう。

 首を縦に振って肯定。


ツェルト「何だよ、それ!」

ニオ「許せないっ。ニオ怒っちゃうんだからー」


 ツェルトとニオが率先して遺憾の意を表明しているからか、ステラにはそれほど憤りの感情はなかった。


ステラ「とにかく、これからの事を考えなくちゃ。幸いまだ時間はたっぷりあるんだし、他の試験の候補から、次に行く場所を決めちゃいましょう」

ニオ「えー、終わってのびのびできるかと思ったのに」


 話が違うだの、聞いてないだのわいわい騒いでいるが、ステラードにしてはこの程度の事、本当にどうと言う事はなかった。


 自分の身を省みれば、己の人生がいかに大人の都合で振り回されてきたのかよく分かるからだ。


 魔物に襲われて傷を負ったステラを、外聞が悪いと王宮から追い出して屋敷に閉じ込めた事とか。とある事情で王宮にとって役立たずだと判断した時も、何の躊躇いもなくあっさりと王族に連なる物の証、グランシャリオの名前を剥奪していった事とかも。


 それに比べれば、試験のやり直しくらいどうって事なかった。


『捨てないで、私ちゃんと頑張るから……』


 ああ、そうだ。

 思い出した。


 ツヴァイを見る目が変わった人の事を。


 あの時私は、この人なら絶対に信じられる。

 信じても大丈夫な大人な人だって、そう思ったんだ。



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