星01 四月下旬
読んでみようという勇者な方へ。
ログ様に加工したものなので読みづらいです。
王都グランシャリオにある魔物を退治するための騎士を養成する騎士学校には、実は王女が通っている。
その王女は王家から追放された名無しの王女だが、庶民の生活に順応し、己の身分を隠して日々過ごしているらしい。そして、王女で亡くなった今でもその責務を果たそうと、民を守るために剣の修行に身をやつしているのだ。
……と、言うのがその学校で噂になっている、数々の話の中の一つだ。
フィンセント騎士学校
ステラ「……実は、その王女が私だったなんて言ったら皆驚くかしら」
ニオ「うーん、どうだろね。驚かないんじゃないかなー。だってステラちゃんって色々規格外な所があるし」
ステラ「規格外って……」
騎士学校の教室。
その噂話の元王女ステラが小声で友人に話すのだが、対する友人は微妙な表情を浮かべるままだった。
チョコレート色の髪にネコを連想させるような丸々とした茶の瞳が輝く、明るそうな印象を他者に与えるそんな友人の少女、名前はニオ。
ニオ「だって、一人で熊倒しちゃうような生徒なんて他に聞いた事ないよ? 野外活動の時、熊の返り血浴びたステラちゃん見て、ニオほんとにびっくりしたんだから」
ステラ「ええと、その節は心配をおかけしました」
規格外、の理由を聞かされる身となっては、縮こまらざるを得ない想いだ。
あの時はステラードだって驚いたのだ。
他の生徒が草むらから脅かそうとしていると思っていたのに、出て来たのが熊だったのだから。
魔物でないだけまだまし、だと思うが。
持って帰った熊の屍がニオ達には信じられないものだったらしい。(ちなみにクマは監督の先生によってその後美味しく調理されていた)
ステラード・グランシャリオ・ストレイド改め、ステラード・リィンレイシアは数年前までは、ベッドの傍から離れられないような体だったのだが、今では完全回復を果たしており、元気に剣を持って野でも山でも駆け回れるようになっていた。
本人としては、普通の人間と同じくらいになったくらいの感覚なのだが、ニオ達や他の者にとっては、そんな様子は異様に映ってしまうらしい。
ニオ「才能があるなーって嫉妬するレベルを超えてるよね。もう……」
そんな風に最後には言われてしまう。
ため息を付かれてしまうくらい、おかしいだろうか。