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毎日更新を目指してもう心が折れかけています。
休みならいいけど、バイトや大学が遅いとなかなか厳しいものですね。
ストックするよう心掛けて頑張ります。
はぁ、はぁ。
荒い息を響かせながら、ただがむしゃらに走る。
気が付くと僕は自分の家の前にまで来ていた。小春さんは後ろにいるが、戸田がいない。
多分、彼も僕と同じように彼の家に向かったのだろう。
頭の片隅でそう思いながら、自宅を見上げる。
少し汚れたクリーム色の壁と、錆色の瓦屋根が僕の心を落ち着かせてくれた。
「ねぇ、あそこの道、なんだか変じゃない?。」
後ろで暇そうに髪をいじっていた小春さんが、僕の家の東側の小道。僕の家とお隣さんの間の細い道を指さして言った。
「…なにがだよ。」
変という言葉に、高校での出来事を思い出し、彼女の指さす方を見ることが出来ない。
もしその先で僕の家族が、さっきの僕のように、あるいは高校の生徒達のようになっていたら、僕はどうすればいいんだ。
じわじわと身を蝕む恐怖に身を固めていると、首を無理やり曲げられた。
「ほら、あそこ、黒い霧みたいなのが出てない?。」
無理やり見せられた道には、確かに黒い霧が薄く地面を這っていた。
想像していた光景ではなくて安心したと同時に、言い知れぬ嫌悪感が身を襲った。
あれは、触れてはいけないものだ。
全身から脂汗がにじみ出て、体が地面に縫い付けられたかのように動けなくなった。
その横を楽し気な様子の小春さんが、意気揚々と小道に入っていった。
「って、ちょ、小春さん!?正気ですか!?。」
思わず追いかけて小道に足を踏み入れると、黒い塊が目に入った。
その黒い塊は、よく見ると、黒い包帯のようなものに覆われて、繭のようになった黒い人だった。
その黒い塊を興味深そうに小春さんがのぞき込んでいる。
「なんだこれ。」
気味が悪いな。そう思っていると、すごいスピードで塊から黒い鞭のようなものが僕に向かって伸びた。
「痛っ!。」
黒い鞭が僕の首元をかすめ、後ろの地面に突き刺さった。
「あら、あなた1組の香澄さん?。」
かすった首から浸食するかのように気分が悪くなった。
小春さんが鞭を伸ばした際にできた隙間から、塊の中心の人物の顔を見て、声をかけた。
「ひさしぶりね。ご機嫌いかが?。」
目の前が歪み、頭痛がする。耳鳴りもするし、首の痛みも鮮明に感じるのに、首から下の身体の感覚がない。
小春さんの言葉にいら立ったかのように、複数の鞭がしなり、彼女に向かっていった。
「小春さん…!。」
きっと、この黒い塊が今日の高校で起こった一連のおかしなことの原因だ。
いくら完璧超人性格汚濁の小春さんでも、これには勝てない。
黒い鞭は僕の時と同じように、彼女の首に向かって風をうならせ走っていった。
あの鞭に刺されて、僕と同じように死にかける小春さんを想像したが、目の前に広がった光景は全く異なるものだった。
「どうしたの?。」
彼女の首に当たった鞭は、触れた先から塵となり消えていった。
塵は日光を受けてきらきらと輝き、よりいっそう彼女を美しく見せる。
異様な醜い黒い繭と美しい彼女のコントラストは、まるで映画やアニメかのように現実味が無く、急に僕はすべてが怖くなくなった。
『なんで私の攻撃が効かないの!?。こんな、嘘。なんで。死ね、死ねよ!
あたし以外の人間なんてみんな死ねばいいんだ。早く、早く死ねよ!!!!。』
黒い繭の中、周りを覆う包帯のような鞭のような黒いものがいくつか消え、中の人の姿がよく見えるようになった。
その人、香澄といったか。その少女が顔を歪ませ香澄さんを睨みつけている。
「あらあらあら。なんでかは知らないけれど、あなたのその攻撃は私には効かないみたいね。さぁ、どうするの?。」
にこにこと塊に話しかける彼女の心のうちはなんとなく想像できる。
「ねぇ、もっともっと、無様で醜くて愚かな姿を見せて?。」
『-------………お前っ!!!!!!!!!』
小春の言葉に少女は顔を真っ赤にして激怒した。
全ての鞭が咆哮を上げる様に、風を切り彼女の首に吸い込まれ、輝く塵となって消えていった。
今回のお気に入りの言い回し
→完璧超人性格汚濁