儘ならないの続き
(おっかしいなぁ……)
目が覚めると結構 暗くなっていた。
随分深く眠っていたらしい、やはり大分疲れていたのだろう。
そこまではいい。
だけれど問題は‥‥
夢の中と状況が変わっていなかったことだ……
寝床の感触もそのまま、 目も耳も体も相変わらずだ。
そしてもう一つ困ったことが‥‥
(ハラ減った~~!!!!!)
それはもう猛烈に。
今までも腹を空かせたことぐらいあるけれど、
此処までの、死ぬほどの空腹というのは初めてだ。
夢の中でほっぺ抓っても痛くないって言ったやつ出てこ~い!!痛いもんは痛いし腹減りゃこんなに苦しいぞ!!
(ヤバいヤバいヤバい‥ こんな体でどうせいと‥‥)
アホなこと考えてる場合じゃない、早く何とかしないと‥‥
とにかく体を藻掻かせながら
「ァ‥‥アウアゥ‥‥」
一つ声を出してみた。
……というか これぐらいしか出来ることが無い、頼む~ 誰か気付いてくれ~!!
すると こもってよく聴こえない耳に、女性の声らしきものが届いた。
‥‥随分と機嫌悪そうな調子で
(そうですよね~ もう結構暗いですもんね、夜分遅くにすみません、
でもこっちも緊急事態なんです、 だから助けて~~!!!!)
届かぬ声に願いを載せて、
強く、強く念じた。
すると不意に持ち上げられて、
(ウプッ!??)
顔面を何かに押し付けられた。
ほの暖かいゴム鞠のような柔らかさに、口元に少し堅めの突起。
(あれ、これって‥)
考えるより早く、本能が吸い付いた
人肌の、ほんのりした甘さが口に広がる。
………それはもうがむしゃらに飲んだ、お腹いっぱいになるまで。
満足感に満たされると再び睡魔が鎌首を擡げはじめ、意識は次第に飲み込まれていった………