手玉
細い細い意識の中、ふいに締め付けが解かれ、周囲が明るくなった
………ような覚えがあるような無いような……
(ふぅ…… )
次第に意識がはっきりとし、冷たい空気の中 何やら擦られ、揺さぶられているのを感じる。
………くたびれ果てているので、 正直そっとしておいて欲しい……
とりあえずゆっくりと眼を開けると………
(あれ?……)
目に擦りガラスが張り付いているかのように、視界がボヤボヤしていた
耳も何だかこもって よく聞こえない
さらには、何だか体にうまく力が入らない
……おまけに何故か体中がベショベショだ‥‥
(これ夢の続き‥‥だよなぁ……?)
……ふいに怖くなってきた
というか夢であって欲しい、
倒れた時のことを思い出すと、脳の血管が詰まったとしか考えられなかったからだ。
………ベショベショは除いて。
そこはかとない不安に悶々としていると
(?!!!!)
突然両足を、まとめてムンズと掴まれ そのまま一気に逆さ吊りにされた。
(ノゥァ!?? ななな何?????)
あまりのことに頭の中が でんぐりがえっている所にさらに
バシッ!バシッ!
たぶん巨大な手で、背中を強く叩かれた。
コポリと、口から水を吐き、
それから更に思わぬことが起きた
「フェェ………」
泣いたのだ、いい歳こいて。
もっとも、泣いたことへの驚きの方が強烈すぎて、すぐに泣き止んだのだが。
ひとしきり驚いたら妙に冷静になり、
(あぁ、夢だ夢だ)
夢の続きの確信を得た。
先に吸い込んだであろう水も吐いたし。
大体 日本に巨人がいてたまるか。
‥‥泣いたことにはフタをした
その後 ぬるま湯でジャブジャブ洗われてから布に包まれ、
何やらどこかに持って運ばれた。
別の部屋にでも移されたのだろう、そこそこ時間が経ったあと、柔らかい場所に横たえられ 少しゴワゴワする布を掛けられた。
寝床だろうか。
(あぁ、やっとゆっくり寝られる………)
もうこんな夢とはオサラバしたい。
目が覚めたら日本にいることを願いながら、真矢は今度こそ夢の中で眠ることにした。