誰かさんの羊
ガン!ガン!ガン!ガン!
(………何じゃらほい?………)
お昼に寝てると、窓の外から凄い音がした、
そっちを見ると、木の板を持ったじいちゃんが窓の下にしゃがみ、
ガン!ガン!ガン!
またあの音が聞こえて来た。どうやら何か作っているようだ。
そんなことがあってから幾日かして…………
メェ~~~~
何かの鳴き声で目が覚めた。
窓の外では じいちゃんが連れたモサモサした何かが、窓の下ギリギリに見えている。
(‥‥あぁ~~今度は羊連れて来たんかなぁ‥‥‥)
あの音は足場でも作っていたんだろうか、前のヤギは、斜面を転がり落ちたせいで死んじゃったみたいだったし‥‥
‥‥‥ホントありがたいなぁ‥‥‥
「お~~い、久しぶりのミルクだぞぉ」
ありがと~~じいちゃ~ん、色々手間掛けさせてごめんね。
それにしても羊の乳は飲んだこと無いなぁ‥‥
差し出された匙をチュッと吸い込む
前世も含めて初体験の味
涼しくなってきたからか、青い香りは穏やか
その代わりに脂肪分の甘みとコクが強く、
その脂肪分には、特有の風味が有って‥‥‥
(‥‥‥あっ この感じ何だっけ‥‥‥
あぁ思い出した
ジンギスカン食べた後の茶碗で牛乳飲んだときと おんなじ味だわ‥‥‥)
予想の斜め上の体験だった‥‥‥が
(‥‥‥うめぇなぁ‥‥‥)
幸い自分の口には合った
そしてヤギ乳の八割り増しで、前世の郷愁を誘われる‥‥‥
‥‥‥いやコレ結構好き
こんないいモンが毎日飲めるんかなぁ~~幸せだわぁ‥‥‥
……………なんて思ってたのが甘かったですね、ハイ‥‥‥
あれから二週間ほど経つと、ミルクの機会が急に減って、麦の汁の回数が増えてきた………
そして………
「ラポラさ~ん 居る~~~?」
年嵩の女性の声
あぁ~じいちゃんの名前 ラポラっていうんだ~
名字なんかな? それとも下の名前かな?
「あぁ……どうも、ヴオリネンさん」
「あんたも大変ねぇ一人で子育てなんて。
どうだい羊は、そろそろ乳出なくなっただろ」
「そうですねぇ、昨日の晩からさっぱりと」
‥‥‥そうじゃないかと思ったよ‥‥‥
「やっぱりかい、もうちょっと早くなら、もっと飲ませてあげられたのにねぇ。
じゃあ連れてくよ」
「はい、無理を言ってすいませんでした」
あぁ‥‥ヴオリネンさんとやらに連れられて、羊は窓の外へ退場して行く。
そしてこれからまた、カルシウム不足を心配する日々が始まるのだった‥‥‥
ジンギスカン茶碗は、道産子が羊乳を飲んだら 八割方感じるんじゃないかと
美味いと感じるかどうかは人それぞれでしょうが‥‥‥
初めて飲んだ時は、ビックリしたなぁ~もぉ