白ヤギさんったらあちらに行った
祖父と魔法でじゃれあう日々が続いたある日のこと‥‥
窓の外をぼおっと眺めていると‥‥
(‥‥‥うおっ!!)
ヌッと何かが視界に飛び込んだ
緩やかに反ったフォルム
(‥‥何だありゃ?プラスチック?
‥‥いやいや、この世界にそんなハイカラなもん無いって)
疑問一杯で窓の外のそれを眺めていると、斜め下に下がって姿を消し、
代わりに、下から動物の口が現れた
(あぁ~~ヤギか)
どうやら さっきの物は角だったらしい
でも何でそんなもんが?まさか野良‥‥
なんて思っていると、祖父が横から現れた。
そして屈んで窓の下に隠れ 少しすると再び下から現れ、そのまま窓の横に消えていった。
ヤギはその辺をずっとウロウロしている
あ~そういえばこの前 ガンガン音がしてたけど、あれ杭を打ってたんかなぁ~ そこに繋いだのかな?
ヤギなんぞ連れてきてどうするんだろ?
そんなことを思ってから幾暫く‥‥‥
「お~い喜べ~~、ミルクだぞぉ~~」
やった!!食のバリエーションが増えた!!!!
あのヤギ、ミルクの用に連れて来たのかな?
前世の記憶じゃ 確かヤギ乳って母乳の代用一番手、
ひょっとしたら自分の為に‥‥‥
じいちゃんありがとー!!!!!
匙が口元に近付くや否や、形振り構わず吸い付いた。
青草だけを食べた乳の爽やかな風味
口中に広がる脂肪分の優しい甘み
鼻の奥にゴロッと居座る、つんよい獣臭‥‥
最後のは好みが分かれるだろうけど‥‥‥
(うんめえ~~~!!!!!!
そうそうこの味!前世で飲んでた~~、懐かし~~!!!)
はい!!大好きです!!!
もう一心不乱に飲んで、飲んで飲んで飲みまくって、がっつき過ぎて鼻から出たりもした
はぁ~~~幸せ~~~‥‥‥
食後、窓の外を眺めながら、そこに見えるヤギの角に感謝の願いを飛ばす。
(ありがと~~ お陰で健やかに育てそうだよ~~
もぉみるみる おっきくなってやるんだからぁ)
うつらうつらしながら、窓の外に居る二人目の乳母? に、これからもよろしくと、心の中でお願いをした瞬間‥‥
ズザッ!! ズザザーーー!!! グギュ!!!
‥‥‥角が下に消えたと思うと、何か嫌な音が聞こえて来た‥‥‥
「アゥア~~!!アウーー!!!」
じいちゃ~ん!!ちょっと来て~~!!!何か様子が変!!!
「おぉ どおした~~?」
じいちゃんがやって来たので、枕元に有ったハンカチっぽい布を窓際に飛ばしてクルクル回し そちらにいざなった。
窓の外を見たじいちゃんは‥‥
「ああ~~~~!!!!」
‥‥‥やっぱり何かあったんだ‥‥‥
その夜、じいちゃんが持って来たお椀からは、野趣溢れる香りがした
この臭い 覚えがあるわぁ~~‥‥
確かヤギ汁‥‥‥
差し出された匙には、挽き肉が入っている
‥‥あの、じいちゃん? こっちゃ離乳食もまだですよ? お肉はまだ早いんじゃないですかね??
あ、でも美味しいなあ‥‥
………………はい、まぁ予想通り、
案の定お腹を壊しましたとさ。
じいちゃん夜中にすいません‥‥‥
はぁ~~‥‥なんか色々ツイてないなぁ‥‥‥