祖父と孫とのキャッキャウフフ
その日から祖父の日課が増えた。
暇を見つけては自分に魔法を見せてくれる。
ある時は 握った拳を縦に向け、小指の所から砂を零した。
何かあるインド人が脳裏に浮かんだが、まぁそれはそれ。
お返しに、風を下から吹き上げさせ 横から見た断面がハート型になるイメージで回し、砂を宙に滞留させてみた。
すると祖父は面白がって、指揮棒モドキを持って来て、空中からドンドン砂を落としてきた。
すっげー、何も無い所から砂が湧いて出て来るよ
指揮棒モドキは魔法の杖だと最近解った。
またある時は、掌を下にして水を生み出し、顔にかけようとした。
こちらはお返しに、魔力で目に見えない器を作って空中に止め置き、
その器をマヨネーズのチューブの様に変形させてから圧縮して、祖父の顔目掛けて水を飛ばした。
しかし祖父もさるもの、顔にかかる前に 下から上へ水を舞い上げ 霧状にした。
ならばと自分はその辺りを零下にし、ダイヤモンドダストを作り出した。
すると祖父は、逆に高温にし、浮かぶ氷の結晶を一気に蒸発させた。
むぅ‥‥次の手が無い‥‥何か負けた気分‥‥
そしてもう一つ増えた祖父の日課が、杖を使ってやった魔法を、今度は杖無しでやってみる事だった。
先の、拳から砂の様な 肌に触れる様な状態ならば、みるみる成功率が上がっているけれど、体から離れると少々苦戦しているっぽい。
とは言えドンドン上手くなって行ってる。
自在になるのも時間の問題なんだろうなぁ。
そしてたまに‥‥‥
ドーン!!!!
バキャ!!!
ミシャ!!!!
‥‥祖父が外にいる時に、たまに凄い音が聞こえて来る‥‥‥
いったい何をやって‥‥
いやまぁ、杖無し魔法の実験なんだろうけど‥‥‥
そしてたまに、焦げたり、ボロボロになったり、血を流しながら帰って来る‥‥‥
‥‥‥頼むから死なないでよ~~~‥‥‥
犀 馬場