明日の貴方の為になる
あれから大体3週間位、シーツのケバが 動いてんのか 動いてないのか解らない日々が続いた。
しかし退屈な日々に舞い降りた唯一の娯楽のようなものだから、毎日毎日 飽きる事なく ヘトヘトになるまで繰り返し、
心地よい疲れを友に毎日グッスリ熟睡する日々が続いた。
そしてそれからが早かった
もぉ動く動く、シーツが動く。
ついでに、近くを飛び回る鬱陶しい羽虫をおっぱらう為に、風でも起こせないかなと試みてみると………
3日もすればアッサリ出来た
こりゃあいいや。体は相変わらず赤ん坊で、色々と儘ならないけど、遠くの物をそこそこ動かせる。
ベビーベットからは出られないから、本当に良い暇潰しになるわ~
まぁ迷惑にならないように祖父の目を盗んで、外から戻って来るまでには元通りに戻しておくけど。
そんな事を続けていたある日………
祖父はいつもの様に書き物をしていた。
毎日ではないけれど、結構頻繁にやっている。何書いてるんだろ?
すると窓から風が吹き込み、書類の山から一枚滑り落ちた。
祖父は 集中しているのか気付く素振りがない。
ちょうどいいや、
床に落ちる前に魔法ですくい上げ、顔の前に持って来てみた。
そこには、整然と並ぶアルファベットの列………
‥‥‥わかんね‥‥‥
一瞬 英語かなと思ったけど、どうも違うっぽい
ダ~メだこりゃ サッパリ解らん、さっさと祖父に御返ししよう。
魔法でそっと書類の山に戻そうとしたその時‥‥
再び窓から風が吹き、浮かべた書類が音を起てた
振り返る祖父、その目には宙を舞う書類‥‥
祖父はビクッとなった
やっべ、バレた
少し呆然と見ていた後、バッとこちらを向き
「‥‥お前がやってるのか?」
‥‥ええっと‥‥どう反応したらいいやら‥‥
勝手に見た負い目から どうしたらいいか迷っていると、
祖父は 次第次第に口角を上げて行き、
「こりゃあ、面白い事になったなぁ‥‥」
凄く嬉しそうに呟いた
あっ良かった、怒らないのね
じゃあこれからは気兼ね無く、魔法 使う事にしよっと
「まさか杖無しで魔法が使えるとは‥‥」
……………ん?