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常識が崩れるとき

 祖父に自分が押し付けられて、どれくらい経っただろう、


 何処からかベビーベットらしきものを持って来てくれて、箱入りメロン状態より随分視界が良くなった


 それから祖父の姿を眺めることが増えて‥‥



 祖父は明るくなる頃に自分を起こし、麦の汁を鱈腹飲ましてから どこかに出掛けて行く、


 日が高くなる前に帰って来て、また麦の汁を飲ませ、机に貼り付いて何か書き物をする、


 少し涼しくなってきたら、また麦の汁を飲ませて何処かに出掛ける、


 日が落ちる頃に帰って来て、また麦の汁を飲ませ、机に暫く張り付いて、寝る前に再び麦の汁を飲ませて、1日を終える。



‥‥麦の汁ばっかでカルシウム足りないんじゃないかな‥‥


 そんな不安を抱えながら日々を過ごしていた

そんなある日‥‥




 不意に来客がやって来た


 戸を叩くような音ののち、


「こんにちはー、マキネンでーす」との声が


 あら北欧っぽい名前だねぇなんて考えていると


 祖父が、机に乗っている書き上げた書類をまとめて持ち、声の方へ向かって行った。

 遠くてよくは聞こえないけれど、なにがしかの会話をしているようだ


 そして

「それではまたお願いしまーす」

 と声が聞こえた後、祖父は手ぶらになって戻って来た。


「えーっと‥‥」


 何かを探すような視線を本棚に走らせると、無造作に置いてあった、指揮棒のような物を おもむろに手に取った。


 但し 向きは逆、太い方の端を親指の先にして握っていた。

 そこにはガラスなのか宝石なのか、透き通った物が付いている。


 それを、本棚の上の方に向けて‥‥‥




‥‥我が目を疑った‥‥



 分厚い本が 独りでに 本棚からフワリと降りて来た


 それが机に降り立つと 祖父は机に向って座り、それを開いて見ながら、書き物を始めた。





(‥‥‥何 今の‥‥‥)





 前世ではあり得ない、重力をまるで無視した本の動き‥‥ひょっとして‥‥


(この世界、魔法があるんじゃ‥‥‥)


 自分の中の常識がガラガラと崩れ‥‥




 心の奥から、好奇心とワクワクが一気に吹き上げた


(え!何!?ここそんなファンタジーな世界なの?!!)


 そうと解れば矢も盾も堪らない、早速シーツの端に向けて


(う~か~べ~~~‥‥)


 強く念じてみた‥‥‥



………まあ、思った通りにはならないよね、テキトーに念じただけだし‥‥

 案の定シーツは浮かばなかった。


 それでも懲りずに何度か繰り返していると………


(………あれ?)


 シーツのケバが、僅かにそよいだ…………ような?


 よっし 気のせいかもしんないけど、暫く続けてみよっか



 あ~これで食って寝るだけの退屈な日々からも解放されるわ~~



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