4・商人さんと水魔法。
商人さんのお店は街のはずれにあった。
中心街にはきれいで大きな店がならんでるけどココはどっちかと言えば場末だね。
お店だけでは利益が確保できないらしくて別の街とも商売しているらしい。
キビシイねぇ……商売って。
商人さんにお礼を言ってお金を返した。
利子も払いますよ、と言ったのだけれど
「助けてもらってるからソレが利子分ですよ」と言う。
盗賊に全部持って行かれるところだったからね。
ギルドに登録して薬草の採取の仕事を始めたことを話すとあきれられた。
ダンさんのように護衛の仕事とか討伐のほうが儲かるそうだ。
でもまあ、始めたばかりだもんね。
慣れたらそういうのもやってみます。
そのときは雇ってください、とお願いした。
「君は魔法が使えたよね。
水なんか出せると雇ってもらいやすくなるよ。
水場が有るところばかりじゃあないし運ぶとなると重いし嵩張るからね。
水の出せる魔法使いは貴重なんだよ」
ということで試してみた。
チタンカップを庭のテーブルに置いてそれに水を出してみることに。
でも何度かやっても反応無し!
魔力が動いた気配はするんだけど……
う~ん……と唸ってたら目の前に居た商人さんが居ない。
アレ? と思ったら庭の向こうに逃げていた。
コッチを指さしていた。
え?! 上?
上を見上げたらでっかい水球が落ちて来た。
ドッパ~~ン!!!
ええ!! 見事にずぶぬれになりましたぁ。
水の衝撃ってスゴイね。
めでたく水の出せる魔法使いになれたよ。
調整というか慣れるまでもう少しかかりそうだけど。
でもまあこれで、仕事の心配が一つ減ったよね。
お金を返しに来てかえって得をしちゃったかも。
ずぶぬれにした庭と服の水分を抜いて元通り乾燥させる。
急ぎの洗濯物も乾かせちゃいま~す。
そうか……水分のコントロールっていろいろあるんだね。
お礼の言葉とお別れの言葉を置いて宿に帰った。
今夜でココともお別れだ。
と思ったら自分で宿代を出せばいいだけのことで延長は自由だそうだ。
ハハハ……まあそうだよね。
新人があふれかえってる訳でも無いよね。
ということで自力延長。
ココはギルドにも近いから当分拠点にしよう。
金色イノシシのお金でオレを知ってる人を探してもらおう。
あのお金が無くなる頃には何か分かりそうな気がする。
彼はギルドの壁にポスターを張り出した。
さて、ラッキーは来るのかなぁ~。
どうやら魔法は色々使えるみたいですね。
使い方を忘れてる雰囲気ですが。
切れる包丁を持っててもちゃんと料理に使えないとソレは
ただの危ない刃物でしかありません。
さて早いところ使い方を思い出さないとね。