33・親睦会。
依頼者はギルドに属している魔術師たちの団体だった。
魔術の研鑽と会員の交流を目的としているという。
まあ、親睦会みたいなものらしい。
魔術師は少ないので大事にもされるけれど少数派なので
冷遇される面もある。
まとまっていれば多少の意見も言いやすいそうだ。
一人からより団体から言われたほうが無視はできなくなるってことだね。
オレの魔力の使い方がどうも常識からハズレてたということで
説明が可能ならしてほしいと言う。
まあ、別に隠してる訳でも無いから舗装の仕方も橋の架け方も果ては
水場の作り方、井戸の掘り方まで全部教えましたぁ。
あきれられたけど。
オレは魔力の量も多いし回復力も強いから連続でいくらでもできるけど
普通の魔術師だとそうはいかない。
王都に来る途中の領地で舗装の仕方を指導したあの土魔法使い達を見て
ソレは理解した。
方法を理解してもすぐにオレと同じ仕事ができる訳じゃあない。
攻撃魔法の威力を上げようと思ったらやっぱりそれなりに
キビシイ訓練は必要なのだ。
ただの土魔法でもそれは同じことなんだと説明した。
戦争を生き残った魔術師も多いこの親睦会の会員たちはすぐに理解してくれたよ。
戦争目的あるいは魔獣や魔物の退治が目的で魔術を磨いて工夫してきたので
平和利用というか民生利用というかそういう方向に使う発想は忘れていたようだ。
「仕事が増えそうだな。魔術師は今でさえ足りないのに」
会長さんらしきおじいさんがそう言ったので神殿の学校の話は聞いてないのか?
と質問した。
「聞いている。だが試験的な講習会での成績は良くない。
私の所に来ている情報だと十分の一以下しか発動していない。
全員発動しても足りないくらいだと思うんだが。」
あー、実は宰相閣下に頼まれまして発動方法を伝授しました。
神官さん達がマスターして各地の講習会に出張予定です。
全員発動できるとは限りませんが発動率は上がると思います。
「それって……どうやったんだね?」
ということで発動方法の実演。
モデルはギルドの窓口嬢。
魔法の発動はしたことが無いということで。
はい、ちゃんと発動しましたよ。
回復魔法と水魔法が相性がいいみたいです。
魔力量が少ないからたいした威力は無いけどね。
窓口嬢はビックリしてたけど喜んでもくれた。
手品程度でも役に立つ場面は多いらしい。
発動方法も当然伝授しました。
教えられる人が増えれば魔術師も神官も増えるだろうからね。
報酬は規定どうりの額をいただきましたよ。
もっと払うと言われたけどちょっとコツを教えただけだもんね。
次の日に親睦会から羊皮紙が一枚届いた。
「名誉会員として入会を認める」だそうだ。
オレ、入りたいなんて一言も言って無いんですけど。
ハハハ、魔術師さん達、だいぶ驚いたみたいだねぇ。
ココの魔術師たちとは少し発想がズレてるのかもね。
まあ、戦争の後遺症バリバリな方々と平和ボケな雰囲気の
クローバー君じゃあギャップがあって当然でしょう。
平和な時代なら平和な魔法の使い方があって当然です。
まあ、そんなことはクローバー君は気にも留めてない
でしょうけどね。




