2・街のギルドで登録。
すいませーん……勝手に加勢なんかして。
アイツ等、盗賊なんですよね?
「あ、ああ……助かった。魔法使いか?」
自分でも良くわからないんです。
さっき気が付いたら向こうの草原で寝てました。
持ち物を調べてみたんですが名前も書いてないですし思い出せなくて……
「戦争に行ったヤツラにそういうのがいたな。
頭を殴られたヤツとかショックが大きすぎたヤツとかが
自分の事も周りの事も訳が分からなくなるってやつだ」
それなんですかねぇ? でも頭にキズとか殴られたあととか無いんですよ。
自分でわからないことは誰かに聞けばと思ったんですが周りに誰も居なくて。
剣戟の音が聞こえたので危ないかもとは思ったんですが来てみたんです。
「まあ、おかげでオレラは助かった。ありがとよ。
お前のことはオレたちは知らないからこの先の街まで一緒に来い。
誰か知ってるヤツが居るかもしれない」
街があるんですか!
じゃあすみませんが同行させてください。
オレ、もしかしたらソコから来たのかもしれませんし。
馬車の商人さんも許可してくれたので街に行くことにした。
街の名はフロル。
この地方では中規模のごく普通の街だそうだ。
街に着いて困ったことになった。
さっきは気が付かなかったが無一文だったのだ。
ココの街は入場税が居るんだそうだ。
でも売れそうな荷物も無い……
でも商人さんが貸してくれた。
入場税は中銅貨一枚。銀貨の五分の一の価値らしい。
小さな銅貨百枚で銀貨一枚と同じ、銀貨五十枚で金貨一枚と同じだそうだ。
借りたのはイイとしても返す当ては無い。
どうしたものかと困ってたら護衛さんがギルドに登録しろと言う。
「魔法が使えるから大丈夫だと思うぞ。
あの賊どもを追い払ったしな。
捕まえたヤツラは犯罪奴隷に売るんだが安い。
すぐには金にならんしな」
そう言って登録手続きを手伝ってくれた。
なんとなく字は分かるけど書けないという妙な症状が出ていたから
ありがたかった。
名前は分からないけどクローバーにした。
チタンカップの底の裏に四つ葉のクローバーが描いてあったんだ。
ラッキーが来ますように。
護衛さんはダンさんと言うそうだ。
この街と五十キロくらい離れた街の間を商人さんの護衛をして歩いていると言う。
ギルドの新人は三日だけギルドの提携してる安宿にタダで泊めてもらえる。
ありがたく泊めてもらった。食事つきだった。
パンと野菜のスープだけだったけど。
でも底にベーコンのカケラが入ってた。
うん、ラッキーが来たね。
ちっこいラッキーだなぁ、、。
無一文の彼にはコレでもラッキーなんだねぇ。