狐の嫁入り先
さらに、あれから数日経った。
事務所のソファに、一人の男性が腰掛けていた。珍しくみつもきちんとソファに腰掛けている。私は二人分のお茶をテーブルにおいて、みつの横に座った。
「……と、いうわけで、奥さんに憑いていた霊はバッチリ祓いましたから。安心してください」
嘘くささ全開のみつの笑顔に、依頼人、高山さんはホッとしたようだった。
「そうですか、ありがとうございます! 確かに、妻の機嫌も調子も最近良いんです。おまけに、今まで話してくれなかった、弟を紹介するとまで言ってくれて……」
--依頼人が喜んでいるのだから、真実は話さないでおこう。そう心に決めた。
「で、あの、この金額の事なのですが……」
依頼人は、最初に払った小切手よりも、倍近い金額の請求書を見て不安そうにみつを見た。
「いやあ、それがですねー。予想外にしつこい相手でして。もし奥さん、あのまま憑かれていたら、もう少しの内に命を落としていましたね! いやあ、危ない所でしたー。うちを頼ってきて正解でしたよー」
みつが一気にまくし立てる。依頼人はそれに気圧されて、はあ、とだけ言った。
「では、小切手、もしくは銀行振り込みでよろしくお願いします」
私も、良い笑顔で依頼人に請求書を渡した。
依頼人はまだ納得いかなさそうに請求書を見つめていたが、諦めたのか、静かに帰って行った。
高山夫妻に幸あれ!
「良かったんですかね。ほとんど奥さんの経費を高山さんに押しつけて」
「いーのいーの。あの人かなり貯め込んでるよ~時計がこの間と違うもの」
さすがにみつが吹っかけた数字に不安になったが、みつの金銭に対する嗅覚は確かなものがある。ならば、心配する事もあるまい。
「さあて、一仕事終わったし、のんびり海にでも行こうか~、かおちゃん」
みつは自身の机に突っ伏して、楽しそうに言った。
海か。
最近暑くなってきたし、それも悪くない。私は珍しくみつに小言を言うのを止め、みつの意見に賛同した。
終わり。
これにて終了です!ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。オリジナルSF設定満載ですみませんでした!! この二人の話は続きますので、よければお付き合いいただけるとうれしいです。ありがとうございました!




