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成績とりたきゃ睡眠しなさい!  作者: ぐるるん
3/3

手紙

伽凜にとっての悲劇は翌日の朝だった。



まだ慣れない道を通り登校する。そして下駄箱を開けた。

瞬間、下駄箱から雪崩れのように出る紙、紙、紙…


「な…なんじゃこりゃああああ!」


一体何枚あるのか検討がつかない。

入学2日目からイジメられているのかと、伽凜は恐ろしく帰りたい気分になっていた。


そんな中、後ろから声を掛けられた気がして振り返ると、ショートヘアの女の子がいた。


「ねぇ、達花…君だっけ?おはよう」


男として認識されていたことに密かに歓喜しつつも、顔に出すのは我慢して返答する。


「あぁ…うん。おはよう。見てくれよコレ、最悪だよ」


「うわー、2日目からモテモテだねぇ達花君」


床に散らばった紙をまじまじと見つめながら彼女は言う。やがて、一枚を拾い上げた。


「なにこれ、この手紙全部ハートのシールで封がしてあるじゃない…。1人の仕業っぽいわね。むしろ気持ち悪いわよこんなの」


伽凜も改めてよく見てみると、紙は全て手紙らしい。それもきちんと封筒に入ったもの。いわゆるラブレター…。


「ところで、なんで俺の名前を?」


「同じクラスよ。ま、2日目だから仕方ないか。逆に、私…もとい、クラスの人のほとんどは達花君のこと知ってるけどねー。昨日あんなことがあれば当然ね」


そうなのか、知らなかった。思わず伽凜はため息が出た。


「というわけで、私は池宮わかばって言うの。よろしくね!」


「うん。よろしく」


きっかけはどうあれ、知り合いができて良かったと伽凜は安堵した。


「…さて、この騒動の犯人を探し出して、ぶちのめしてやらないとね。あまり他人事でもないし」


ぶちのめすなんて女の子が使う言葉だったかなと思いながら、再度伽凜は返答する。


「多分あいつだろ」


「…あいつ?」


「昨日の変態。…確か柿田とか言うやつ」


「あー…柿田君ね、確かに昨日のことがあったからやりかねないわね。よし、とりあえずクラスに行ってみましょう。」


「そうだな。ちょっと待ってて」


伽凜は、まだ下駄箱の中に少し残っている手紙を下に落とし、靴を履き替えた。

そして、少し考えた後バックからコンビニの袋を出した。袋の中のおにぎりと紙パックをバックにしまい、空っぽになった袋に床の手紙を全部袋に入れて縛った。


「犯人にこれを投げつけてやる」


「あら、いいわね。達花君とは気が合いそうだわ…ふふ」


先に歩き出したわかばの後ろから伽凜がついていく。

誰かについていく体質の伽凜にとって、わかばの積極性・リーダー気質は非常に頼もしい存在になっていた。

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