プロローグ
開始です。よろしくお願い致します。
感想など頂ければ泣いて喜びます。
ここは広く果てない荒原。
まるで地震のような揺れが発生していた。
揺れが発生してる原因は、人間の何十倍はあろうかという巨人が走っていることである。色はピンクではあるのだが、ちっとも可愛くなんかなく、人間を叩き潰せる大きさの棍棒と、口から垂れるヨダレがよく似合っていた。
そんな巨人に追いかけられ、逃げている青年達がいた。
男が1人、女が3人。皆、武器を持ち戦闘体制なのは見て取れるが、全速力で逃げているのを見る限り、どうにも勝負にはなっていないようだ。
「聞いてないぞっ?あんなにデカいなんてッ!」
男が全速力で走りながら言う。
彼は背中に大きな盾など、相当重装備のようで、走っている4人の中で一番辛そうだ。
「アホ。私達が一番乗りなのだから相手が巨人だなんて誰も知らんだろう」
続けてメガネの女が涼しい顔で言う。
そのメガネの女に、一番背の小さな子が尋ねる。
「しかしですねぇ…確かに、どうやって戦うんです?あのおっきいヒト…」
「ふーむ…ガードしながらの遠距離戦闘ならなんとかなりそうじゃないか?ドMと和沙あたりで……」
と、答えた所で巨人が棍棒を大きく振り上げた。確実にあと数秒で振り下ろすモーションだ。
背後の巨人の様子を伺いながら走っていた、銃器を持った女が叫ぶ。
「ドM!ガードよろしくっ」
瞬間、ドMと呼ばれているらしい男が反応した。背中に装着していた身長の2/3もある大きな盾を右手で持ち、そのまま巨人の方へ走って、振り下ろされる棍棒の落下点に入る。
「だからッ……ドMじゃねぇ!!」
そして、自分が叩かれるのと同時に、両手を使って盾を力の限り振り上げて棍棒に当てたのだ。
ガアァァァンッ………
男の力はかなりのものだと推測できる。
もの凄い音を鳴らしながら巨人の攻撃を弾き返した。勿論、男も相応な反動を受けていたが、直接的なダメージはないようだ。
巨人も、弾き返された反動で十数秒のけぞり、動きが止まった。これが狙いなのだろう。
「上出来じゃん。ド…マサ!あとは撃ち抜くだけッ……」
そう言いながら先程の銃器を持った女がスナイパーライフルを構え、数秒の沈黙の後、まだのけぞっている巨人の頭を撃ち抜いた。
巨人は膝をつき、大きな音と揺れを発生させながら倒れ込んだ。
おそらくもう息はないだろう。
「しっかしでけぇなコイツ…。おっと、和沙ナイスプレー」
男が右手で盾を持ったまま3人の集まってる場所に戻ってきて、3人のうちの1人。巨人にトドメを刺した女とハイタッチする。
「春休み明けても腕はなまってないのね。流石は………マサじゃない」
「…なぜ名前を呼ぶときに間があったのか謎なんだが」
2人の会話にメガネの女が割り込む。
「まあまぁ、いいじゃないの、仕留められたんだし。流石はあなた達2人ね。さて、新しい魔物だったからちゃんと記録にまとめて皆に報告しなきゃ。新入生も入るから丁寧にね」
「了解!」
他の3人が敬礼のポーズをとりながら答えた。
そして、背の小さな女が呟く。
「新入生ですかぁ…可愛い子来ますかねぇ?」
スナイパーライフルを装備した女が続けて呟く。
「えー、見た目よりもさ、あたしは強い子が欲しいな…男の子!」
春の香りはこの荒原では感じ取れないし、桜や花も見ることができない。
だけど彼らは、こんな荒原に来て魔物と戦わなければならないのだ。
すべては成績、そして世界の為に