第六話『 奇妙な朝、ペルラの決断 』
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さて、眠れぬ怪物の夜が明けて、地平線の向こう側で日の光が伸びを始めたころ。
うっすらと朝日に照らされた山吹色に輝く宮殿から、三人の兵士たちが姫君の塔を目指して歩き出しました。
この兵士たちは、昨夜少なからぬ労力と多大な血を流した上で、獣のような女王を取り押さえたあの逞しい男たちでした。
幼い女王の怨念と怒りが、乗り移ったせいでしょうか?
ベッドで横になった後も、瞼を閉じるたびに恐ろしい悪夢が次から次へと現れ、兵士たちは夜明けまでろくに眠ることもできませんでした。
やっと悪夢が立ち去り、うとうとし始めたと思ったら、今度は女王の母君がやって来て、兵士たちを寝床から叩き起しました。
そして北の塔へ赴き、ペルラ姫の遺体を引き取るように仰せつかった、と言うわけなのです。
「おお、我らが王妃のお優しいことよ! あの方が早く地獄に落ちますように!」
兵士の一人が塔の扉を開きながら、毒づきました。
他の兵士たちも、その男をたしなめようとはしませんでした。みんな、同じことを考えていたのです。
兵士たちは熊のように逞しい肩を擦り合いながら、猫に忍び寄る鼠のようにそろりそろりと塔の階段を登って行きました。
男たちの足取りは重く、塔の頂につながる階段は長く、しかし到着を永遠に引き延ばすことはできませんでした。
ついに姫君の部屋の前に立ち、食い散らかされた遺体を目にすると思っていた兵士たちの恐怖は、如何ばかりでしょうか?
そして勇気を振り絞り、扉を押し開け、その向こうに髪の毛一つ傷ついていない姫を見つけた兵士たちの驚きは、如何ばかりだったでしょうか?
お早うの言葉も忘れて、棒のように立ちつくす男たちの目の前で、今まで毛皮の絨毯のように見えていたモノが立ち上がり、大きく伸びをしました。
「ペルラ、ここはうるさくて気に食わん。俺はねぐらに戻るぞ」大きなあくびをして怪物が言いました。
「はい、ではまた今晩……」
のそのそと巣穴から這い出す熊のように、塔から出ていく怪物を見送ると、ペルラは我先に逃げようとして出口で詰まった兵士たちの方に目を向けました。
「あら、お早う、兵隊さんたち……ちょっとお願いをしてもいいかしら?」
(兵士たちは震えているのか、うなずいているのかわからないような勢いで、首をがくがくと動かしました)
「お義母さまと大臣たちに、大事なお話があるから、この塔に来てほしいとお伝えください。私は疲れたから、皆さんが来るまで少し休んでいることにします」
そう言うとペルラ姫は、可愛く小さなあくびを漏らしました。
男たちが飛び出さんほど大きく目を開けて見つめているのもかまわずに、天蓋つきのベッドの上に横たわり、すやすやと眠ってしましました。
驚き過ぎて頭が真っ白になった兵士たちは、ペルラ姫に命じられたままに宮殿に戻り、姫の遺骸の代わりに、その言葉を王妃に手渡しました。
続いてどれほどの騒ぎが起きたのかは、あえて言うまでもないでしょう。
ただちに惰眠を貪っていた廷臣たちが、心地よいベッドの中から引きずり出されました。
王妃を先頭に、ペルラ姫の乳母をしんがりに、その間に大臣やら将軍を挟んで、人々は列を作って塔を登り、姫君の扉をたたきました。
ペルラの部屋はこれらの貴いお方たちで、ぎゅうぎゅう詰めになり、姫はベッドに腰掛けながら、居並ぶ王国の重鎮に昨晩の出来事を語り聞かせました。
さて、幼い頃から書物と物語に親しんでいたおかげで、ペルラは話し上手でした。
(王妃を除く)人々は姫の語り口に乗って、恐怖に歯を食いしばり、手に汗に握り、怪物の醜態に吹き出し、最後には当惑したようにお互いの顔を見つめ合いました。
ペルラ姫は凛とした声で、大臣や将軍たちに命じました。
「まずは私が怪物と約束した通り、この国の内と外を問わず、できるだけたくさんの食べ物を集めてください。一度に出す食べ物は一種類だけ、その代わりに怪物の胃袋でも満足できるように量を多くしてください。いいですか、怪物が人間以外の食べ物に飽きるのを一晩引き延ばせば、一人の命が助かるのです。それから、これはもっと大事なことですが……怪物に関わる書物や物知りの賢人を集めて欲しいのです。あの怪物の正体さえわかれば、もしかしたら、もう二度と犠牲者を出さずに済むかもしれません」
部屋からざわめきが消え、薄い氷のような沈黙が人々の口を覆いました。
今や貴族たちはお互いの顔ではなく、部屋の一方を見つめています。
その視線の先で、王妃はゆっくりと口を開き、低い声で張りつめた沈黙を破りました。
「娘や。今まで誰も姿すら見たことのない怪物の正体を探れると思っているのかい?」
「わかりません。今から、それを試してみるつもりです」
「ペルラさま、仮に正体がわかったとして、怪物に人食いをやめさせることはできるのでしょうか?」王妃のあとに続いて、大臣の一人が聞きました。
「わかりません。しかし、私が約束を守らせる限り、あの怪物をこの塔に引きつけておくことができます」
「では、姫さま。いつまで、あの怪物の気を引きつけておけるんでしょうか?」おそるおそる、次の生贄の母親である乳母が聞きました。
「ああ、それはわかるわ、婆や。私の命が尽きるその時までよ……」
◆ ◆ ◆
こうして、ペルラ姫と怪物の奇妙な生活が始まりました。
最初都の住人たちは、怪物と姫の間に交わされた約束を信じていませんでした。
今夜にも、怪物が気まぐれから約束を破り、ペルラ姫を食い殺して、次の生贄を要求すると思っていたのです。
しかし、一晩経ち、二晩経ち、三つめと四つめの夜が明けても……。
塔の上に昇った兵士たちが見つけたのは、空になったごちそうの皿と無傷の姫君でした。
ここでようやく、生贄の恐怖から解放された平民たちは、心から喝采を叫びました。
一方怪物の巣となった宮殿の住人は、憂鬱な顔で首を振り、ため息を漏らしました。
怪物が楽器の音を嫌ったせいで、音楽会や舞踏会は禁止になりました。
夜中に貴婦人や貴族の殿方が、庭園の茂みで密かに愛を交わすこともなくなりました。
夜更かしのお楽しみはすべて御法度。月が出ているうちに出歩くのは、もう命がけ。
窮屈な思いをしている貴族たちとは裏腹に、怪物は宮殿での自由を謳歌していました。
毎夜ねぐらから抜けだした怪物は、誰の目もはばからずに美しい庭を散策し、黒い太陽のようにペルラの塔を登りました。
そしてまさに王その人のようにシルクのクッションに座って、宝石や陶器の皿から、海や山の珍味美味を味わったのです。
怪物はペルラ姫との約束を守り、他の食べ物がある限り、人間に手出しをすることはありませんでした。
もっとも、たちの悪いいたずらを仕掛けるのはしょっちゅうでしたが……。
怪物のいたずらの標的になったのは、運の悪い侍女や執事たちでした。
怪物は彼らにわざと牙や爪を見せびらかし、悪趣味な冗談を囁きました。
(『おい、この肉はお前みたいに脂がのっているなぁ?』とか『ちょっと塩が足りないぜ、お前のほっぺについている汗を舐めても良いか?』とか)
塔に昇った者は例外なく骨までがくがくと震え、降りる頃には立っているのもやっとの有様でした。
そしてみんな、こんな怪物と毎晩一緒にいるなんて、姫さまはどれほど心細く不便な思いをしているのだろうか、と胸を痛めました。
しかし、当のペルラ姫はちっとも心細くも無ければ、不便とも感じてもいませんでした。
それどころか、一生のうち、ペルラがこれほど充実した日々を送ったことはなかったと言っていいでしょう。
毎日毎日、姫は日暮れと共に眼を覚まし、怪物が来るまでの時間を賢人たちと言葉を交わしたり、書物を調べることに費やしました。
そして、怪物がやってくると、羊皮紙とペンを手に朝日が昇るまで、怪物と語り合ったのです。
ペルラ姫は、この仕事に夢中になりました。
姫君の目に映る怪物は、まるで神がその御手で削り出した黒い宝石。
おぞましさと美しさが絶妙に入り混じり、見る角度を変えるたびに違う色合いを見せ、見飽きると言うことを知りません。
ペルラ姫の手に握られたペンは、まるで働き者のハチのように羊皮紙の上で踊り、怪物の姿を言葉を、休むことなくスケッチや文字に変えていきました。
ところで、塔の頂にある部屋で相手のことをじっと見つめているのは姫君一人ではありませんでした。
ペルラが怪物を観察しているように、怪物もまた姫君を観察していました。
ペルラが怪物を理解しようとしている間に、怪物もまたペルラを理解しようとしていたのです。
ペルラ姫に傷つけられた自尊心は、癒えることなく怪物を苦しめていました。
その傷と痛みゆえに、怪物はこの世の誰よりもペルラに引きつけられていたのです。
ああ、恐怖を知らないペルラ、或いは恐怖を知り過ぎてしまったペルラ。
その白亜のような滑らかな顔に、どうやって感情という名の黒い傷をつけようか?
雪白のその心を、どうやって夜より戻す黒く染めることができるのか?
夜も昼も、寝ている間も起きている間も、怪物は考え続けました。
そしてある日、ついに自分からペルラに話しかけたのです。
「おい、ペルラ。俺がこの塔に通うようになって、もうすぐ十日になるが、俺の正体について何かわかったか?」
「いいえ」と姫は正直に答えました。「ずいぶんと調べましたが、まだ何も分かっていないも同然です」
今日この日まで、ペルラが集めた書物は数多、賢人もまた数多、しかし得られた知識はわずかでした。
書物と賢人が揃って語るには、怪物が姿を現したのは十六年前、ちょうどペルラが生まれたその年のこと。
それ以前は、怪物も、怪物に似たような生き物も、この世にはいなかったと言うのです。
強いて言えば、怪物は伝説の竜によく似ていました。
鷹の翼と奇形の羽根、炎の鱗と闇の毛皮という違いはありましたが、二匹の獣は不思議と似通ったところがありました。
これを聞くと、怪物は鼻でペルラの言葉を笑いました。
「はっ、俺が竜の奴に似ているだって? 冗談じゃないね!」先ほどまで齧っていたダチョウの丸焼きから顔を上げて「……まあ、良いや。お前と話しているうちに、俺の方はいろいろと思い出したぜ。今日はお前に俺の秘密を、一つ教えてやろうじゃないか」
「どんなことを教えて下さるのですか?」ペルラは興味に目を輝かせました。
「姫よ、お前は以前、俺がどうして人間の言葉を話せるのか、聞いたことがあったな?」
今現在、こうしてペルラと話しているように、怪物は実に達者に人間の言葉を操ることが出来ました。
怪物と長い時間を過ごした姫は、怪物が大陸にある十の王国の十の言葉を全て話し、その知識はどんな賢人にも劣らないことを知っていました。
その中には、異国の宮廷作法や市場での宝石の値切り方など、本来怪物が知っているはずのない知識もたくさん混じっていました。
「ねた明かしをしてやろう。良いか。俺に食われた人間は、すぐに死ぬことはないのだ」
「それは……どういう意味でしょうか?」おずおずと姫は聞きました。
「ふむ、理屈はわからないんだが、俺に食われた人間は、しばらくの間、意識だけになって、俺の中に留まるのだ。その間、俺の眼を通じてものを見、俺の耳を通じて音を聞き、俺と話をすることも出来るが、自分の意思で身動きすることだけは出来ない」
怪物は返事を待ちましたが、ペルラは何も言いませんでした。何も言えませんでした。
怪物の口から語られた残忍な事実が、姫から言葉を奪ったのです。
始めてペルラの顔にひびを入れることに成功した怪物は、満足げにきざきざの笑顔を浮かべました。
「俺に食われた後、そのことに気がついて、泣きわめく奴もいる。怒る奴もいる。でも、面白いことにな、しばらくするとみーんな同じような反応をするんだ。最初、そいつらは独り言をはじめる。それから、俺に話をしてくれと頼むようになる。そうじゃないと、自分を保てなくなるのさ。それでも、みんな最後には消えていく……」
「もし、もし……」震える声でペルラ「貴方の中に誰か残っている間に、他の人間を食べたらどうなりますか?」
「おお、良いところに気付いたな!」嬉しそうに怪物が言った。「俺はこう見えても小食なんだ。一人食べれば一週間以上、いや一カ月以上、食べる必要はないのさ。それがどうして、毎日のように生贄を取っていたと思う? 実を言うと、俺の中に一人以上の意識が入る余地はないんだ。一人入れば、一人消える。だから、腹の中にいる連中が、自分が楽になりたくて、他の奴らを身代わりにしたくて、俺をせかすのさ。さあ、早く食べろ! 人間を食べろとな!」
がはははっと怪物は体をのけぞらせて笑い、ペルラは顔を覆って俯きました。
ひとしきり笑った後に、怪物は優しいとすら言える声で姫に話しかけました。
「この俺の中に黒々と燃える憎しみがある。ちりちりと内臓を噛む炎がある。人間どもの憎しみや呪い、悪あがきの声を聞いた時、その黒い炎が少しだけ和らぐのだ。分かったか、ペルラよ、それこそ俺が人間を食う理由なのさ……」
怪物は姫の顔を覗き込み、そこに自分が残した酷く醜い恐怖の傷跡を探しました。
しかし……面を上げたペルラの眼は涙で光っていましたが、そこにあったのは混じりけのない悲しみ、海のように青く純粋な感情だけでした。
「では、あなたは寂しかったのですね……」
「なん……だと?」
怪物はまたしても姫への答えに窮しました。
ペルラ姫は白い絹のドレス越しに、自分の胸を押さえながら言いました。
「私も身に覚えがあります。この塔に来て、たった一人で部屋に残された時、話す相手もなく、聞こえるのは自分の声ばかりで、寂しくて、耐えきれなくて、胸の奥が火で焼かれるようにちりちりと痛みました。そんな時は、たとえ罵り声や恨みごとでも良いから、誰かに話しかけてほしかった。たった一言の言葉のために、恐ろしいこともできそうな気持ちになりました……」
そして、白い姫君は黒い怪物に聞きました。
「貴方は、寂しくなかったのですか?」と。
怪物は問いの答えを求めて、自分の中を探しまわりました。
一時も休まることなく燃え続ける黒い火の中を、山のように高く積み上げられた骸を、その骸から得た分厚い知識の地層を隅々まで漁りました。
しかし、そのどこにもペルラの問いに、相応しい答えはありませんでした。
どうして、この小さな姫の目に自分の心を貫き通す力があるのか。
どうして、こんなにも答えにくい質問ばかりすることが出来るのか。
悩みに悩んだ果てに、怪物の口から飛び出したのは、姫の質問とは何の関係もない言葉でした。
「お前は、なぜ俺を怖がらないんだ?」
「それはきっと、私に何もなくすものがないからですよ」ペルラ姫は苦笑いを浮かべて言いました。「死を恐れる人は、死そのものを怖がるのではなく、死によって何か失うことを恐れているのです。私には何も失うものがありません。だから、貴方も怖くないのですよ」
「そんなバカな! お前の言うことは矛盾しているぞ」怪物はいきり立ちました。「お前は王の一番年上の子供だ! そのぐらい、俺だって知っている。この国にあるものは、全てのお前のものだ。なくすものがないなんて、有り得ない!」
「いいえ……お父さまがお亡くなりになって、私に残されたのは、この部屋と自分の命だけ。それすらも、私の思う通りにならないものばかりです」
そしてペルラ姫は怪物に、自分の奇妙な生い立ちを語りました。
異国から嫁いだ母親が目に見えぬ恐ろしい何かと約束を交わして、自分が生まれたこと。
父親の再婚を、母親の違う妹の誕生を、そして父の死とその後の混乱、王妃との確執、塔の幽閉を話しました。
全てを聞き終わった後、怪物は再びペルラ姫の部屋の中を見渡しました。
塔の最上階は、今までと全く違った姿を怪物に見せました。
絹の寝床や本棚は色あせ、灰色のレンガや天井の隅の蜘蛛の巣などが目につきました。
怪物は気付きました、ここは墓場なのだと。
わずかな副葬品と一緒に、ペルラ姫はここに生きながらにして埋葬されたのです。
姫の言葉か、部屋の景色か、それともその両方が切っ掛けになったのか。
何かが怪物の心の深く分け入り、黒い火を、骸の山を、亡霊の地層を貫き、その下に辿り着きました。
それは怪物の一番古い記憶、始めて人間を食べ、その知識を吸収する前の思い出、怪物が怪物になる前の……。
「ペルラ、外に行かないか?」
自分が何を思い出したのかも、思い出せずに怪物は言いました。
「外へ……ですか?」
「そうだ、ペルラ、外へ行こう! 本物の山を、川を見たくないか? 壁も天井もないところで、星空を見上げたくないか? お前が本で読んだり、人に聞いたものが、いやそれ以上のものが外にはあるぞ!」
今度は、姫君が怪物への答えに窮する番でした。
答えがわからなかったわけではありません。答えは常にペルラの中にありました。
自分の人生を愛さず、欲も望みも知らないかのように生きてきたペルラ姫。
しかし今、怪物の言葉は姫君の中に眠っていた欲望を呼び起こしました。
それは芽生えようとする種の餓え、北を目指して飛び立とうとする渡り鳥の渇き。
自分でどうすることもできない、自由と広い世界への渇望でした。
砂漠で目覚めた人間のように、一度自覚してしまうと、その渇きは耐え難いものでした。
ペルラは言いわけを求めるように、机の上に置いてある砂時計を見ました。
玻璃の容器の中に収まっている砂鉄は、すでに大部分が下の器に滴り落ちています。
もうすぐ夜明けが、ペルラにとって地獄の釜戸さながらに燃えさかる太陽が昇る時間です。
それから、薬のこともあります。姫の命をつなぎとめ、同時にお城の中に縛りつけている薬は今や百種類に達して、飲むだけで一時間近くかかるようになっていました。
しかし、時至れば芽生えるものを、飛び立つものを誰が止めることができるでしょうか?
たとえ暖かい土の外に冷たい霜が待っているとしても、北の果てに弓矢を構えた猟師がいるとわかっていても。
『日が昇る前に塔の日陰に戻り、手遅れになる前に薬を飲めばいい』
その考えが頭をよぎると、ペルラの決心はもはや揺るぎないものになっていました。
誘うように差し出された怪物の手を取り、姫は震える声で問いに答えました。
「外へ……私を外へ連れて行って下さい!」
第七話『 昇る日のごとく、堕ちるもの 』に続く。
お待たせいたしました。
病気の再発やら、休日残業やらで、更新が大幅に遅れました。
次回はもっと早く更新する予定です(汗)