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学園生活 NO.9
それからも、殿下は変わらずに騎士科の稽古を僅かな時間でも見に来ていた。
学園内で会うと挨拶を交わすようになった。
段々と挨拶以外に一言二言話すようにもなった。
それは、他愛もない事ばかりで、天気だったり、剣術の稽古についてだったり、王都で流行りのお菓子だったりしたが、楽しい時間だった。
学園生活も終わりを迎える頃になると、殿下は政務でお忙しらしく、あまり登校しなくなった。
卒業式の後は、恒例の記念パーティーが開催される。
婚約者のいない者は皆慌ただしくパートナー選びを決めなければならない。
騎士科の女性徒もこの時ばかりはドレスを着用するきまりだ。
学園の卒業生のお兄様は私をエスコートするとはりきっているが、私は気が進まない。
夜会用のデコルテの深いドレスは着られないから、本当は騎士科の制服で出席したいくらいだ。
お母様は私のドレス姿を大層期待してるのでそうもいかない。
気が重い。