婚約の申し込み NO.7
僕は狩猟から帰ってから、直ぐに父上と母上に、アマルを婚約者にしたい旨を話した。
非の打ち所がないアマルならきっと賛成してくれると思った。
それに、僕を救ってくれた恩人だ。
「フランソワ、アマル・リーサ嬢は大変魅力的な女性だが、本人はきっと辞退するだろう」
「フランソワ、アマル嬢の事は諦めなさい。アマル嬢はあなたを好きにはならないでしょう」
「何をおっしゃるのですか?」
「アマル嬢は私には過ぎた令嬢ではありませんか!どうして賛成してくださらないのですか?」
父上と母上は顔を見合わせ、困ったように見つめあってた。
どうしてなんだろう?
父上は熟考してから話始めた
「アマル嬢が、フランソワを助けてくれたのを思い出したんだね。そのあとどうなったのか覚えているかな?
アマル嬢は、その時に背中にひどい傷を負って、令嬢として婚姻を諦めたそうだ。惨いことだ」
「アマル嬢の事は諦めなさい。傷の原因となった貴方の申し込みをアマル嬢が受け入れるとは思えません」
「もしも、アマル嬢がフランソワを受け入れくれて、フランソワも変わらずにアマル嬢を愛しく思えるなら許そう。自分の気持ちをくれぐれも押し付けないようにするんだよ」
「フランソワ、それにはまず、アマル嬢に認めてもらえるように精進するのよ」
僕は、そのことを初めて知って、愕然となった。
何も考えずに惰性で生きてきた僕と、傷を負っても、前向きに生きてるアマルの差を聞かされて茫然となった。
それでも、今度は僕がアマルを守ろうと決心した。
僕の事が許せなくても、僕はアマルに対して何かせずにはおられなかった。
それからは、今までとは比べ物にならない位に努力を重ねた。