NO.18 リーサ伯爵邸
今日は公休で邸で稽古をする予定だったのに、侍女のサンドラが早朝から
「剣術のお稽古は本日はおやすみです!」
そう言って私の髪や肌の手入れに余念が無い。
お茶会でもあるのだろうか?
途中からはお母様も加わってデイドレスを選び始めた。
結局、アクアマリンの軽やかなドレスとなった。
髪は下ろして大きなウエーブを作り、薄く化粧を施した。
仕度が終わった頃にはもう午後のティータイムだった。
その頃にはお父様も帰って来られた。
「そろそろお着きでございます」
と、執事のエバンが呼びに来て、お父様とお母様と一緒に玄関ホールまでお迎えに行った。
一体どなた?
と思っていたら、王家の馬車が留まってフランソワ殿下がお越しになった。
「将軍、本日は訪問を許してくれてありがとう」
「わざわざお越しくださって大変光栄でございます。アマルもご挨拶を」
私は驚いてしまったが
「殿下におかれましてはお健やかなご様子お喜び申し上げます」
「アマル、堅苦しい挨拶は抜きにして欲しい。 今日はお忍びだから」
そう言って私にピンクの薔薇の花を一輪くださった。
「ありがとう存じます」
「どうぞこちらへ。 アマル、お茶の仕度が整うまで庭園をご案内して差し上げて」
お母様に促されて殿下をご案内した。
「アマル、突然でごめん。 お忍びだし、ご家族には内密にしてもらったんだ」
「いいえ、お花をありがとう存じます。殿下」
「殿下? 今二人だけだよ」
「フ、フランソワ様」
多分顔が赤くなってる。
俯いて顔を上げないようにしないと。
「今日はアマルに伝えたいことがあるんだ。
僕がアマルに会ったのは10歳の時だよね。
あの時、アマルに大けがをさせた事を謝りたくて。
本当に申し訳ない。僕はアマルに謝ることしかしてないね」
「フ、フランソワ様、傷のことはお忘れください。
今は殿、フランソワ様をお助けできたことを、私は誇りに思っております。正直に申し上げると学園の1年生の時は腹立たしいと思ったこともございますが、今はあの事故で負った傷は後悔しておりません」
「本当?」
「もちろんでございます」
「それなら、それなら、僕と婚約して欲しい!」
「、、、」
「そ、それはお受けいたしかねます」
「どうして? 僕が嫌い?」
「そ、その様な事はございませんが、、、
私は私はフランソワ様に相応しくございません」
「どうして? 傷のことを気にしてるの?」
「フランソワ様はご覧になったことがございませんので、軽はずみにおっしゃるのです。それに、きっと責任をお感じになって、、、」
「軽はずみじゃ無いし、責任を感じてでも無い! 僕は学園で初めてアマルを見た時から、いや、リーサ領で初めてアマルを見た時からアマルが好きだ!!」
「僕が傷の原因なのに、求婚なんて受け入れられないかもしれない。
でも、僕はアマルを愛してる。
そんなに、傷が気になるなら僕の背中にももっと大きな傷をつけるから。どうか僕をみて」
「フランソワ様」
「愛してます。どうかお受けください」
そう言ってフランソワ様は跪いて手を差し出しました。
私は今まで、抑えていた思いを、好きになってはいけないと思ってた気持ちが風に流されたような気がしました。
私はフランソワ様の手を取って、こう告げました。
「お受けします。 愛しております」




