17/19
NO.17 アマルの好きな人
孤児院訪問から帰って来たイリア義姉上が突然、僕の執務室へこられた。
アマルには好きな人がいるらしい。
僕は考えもしなかった。
常識的に考えたら、自分の背中に大きな傷を残す原因となった、僕を好きになることは考えられない。
心が痛くなった。
考えてみたら、ドレスを受け取ったのも、エスコートを受けてくれたのも、僕が王族で断れなかったから。
ますます、落ち込む。
それなのに義姉上は微笑んで言った。
「アマルにははっきり気持ちを伝えないと分からないと思うわ」
「アマル、恋文の一つも受け取ったことが無いそうよ」
「リーサ将軍と貴方、他の殿方を牽制しすぎじゃないかしら?」
「えっ?」
もしかしたら、義姉上は僕の気持ちに気づいてる?
「アマル以外は全員気づいてるわ。 貴方の気持ちフフ
アマルの次の休日は1週間後よ。 応援してるわ」
そう言って、部屋から出て行かれた。
僕は早速、リーサ伯爵へ文を出し、1週間後のアマルの休日に伯爵邸を訪ねたいと綴った。




