卒業パーティー2 NO.13
僕は茫然と立ち尽くしていた。
アマルがあまりにも美しかったから。
騎士科の制服のアマルを見慣れていたので、ドレス姿を初めて見た。
贈ったドレスはきっとアマルに似合うと思っていたが、想像以上だった。
髪も複雑に編み込んであってアップにしたうなじから、初々しい色香が漂ってるようで、言葉が出なかった。
実はこの1か月、オルセー王国の西側の海洋に海賊が出没して、その制圧の為にリーサ将軍と行動を共にしてた。
本当は将軍が自ら出向く程の事では無かったみたいだが、リーサ将軍の働きをしっかり、肝に銘じるようにと、陛下からのご命令だった。
リーサ将軍は、アマルの父君としての柔らかい雰囲気と違い、将軍として威厳と正確さで、海賊を制圧した。
本当に尊敬できる人物だ。
制圧が終わり、帰途に着く途中でリーサ将軍がアマル嬢をアマルと言うので僕もすっかりアマルと呼び捨てにしてた。
将軍は最初こそ怪訝な顔をしてたが、その内に慣れてしまったようだ。
陛下への挨拶もそこそこに着替えて、アマルを迎えに行って、茫然としてるのが今の僕だ。
「アマル、あっアマル嬢、とてもきれいだ。 淡雪よりももっと美しい」
つい口からでてしまい、顔が赤くなるのが自分でもはっきり分かった。
リーサ伯爵夫人は、ほほ笑んでいたし、侍女は多分泣いていたと思う。




