卒業パーティー1 NO.12
卒業パーティーの当日まで殿下と会う事は無かった。
卒業式後に一旦邸へ戻り、支度をした。
お母様と侍女のサンドラは恐ろしいほどに、力が入っていて息つく暇も無いほどだ。
髪はとても凝った三つ編みをアップにして、何故か殿下の瞳の色と同じアクアマリンの髪飾りとリボンでまとめたサンドラの力作だ。
サンドラは驚いたことに泣いていた。
それを見ていた、お母様も号泣した。
ドレスを着たのはあの事故以来だから。
お父様はお仕事で、家をずっと留守にされてる。
お母様が手紙で私がドレスを着て殿下のエスコートで卒業パーティーへ出席すると、知らせると、私のドレス姿が見られないのがとても残念だと返事があった。
あの事件以降、私は随分と周りに気を使わせていた事を実感して、何か分からないが傷跡について少し吹っ切れた。
仕度は出来上がったが、殿下はなかなかお越しにならなかった。
私の夢はやはり夢で終わると思い、随分とがっかりしたが、お兄様は私をエスコートできると張り切りだした。
もう時間が無いからリーサ家の馬車で出発しようとしたら、殿下がいらした。
「はぁはぁ アマル、よ良かった。間に合って。遅くなってごめん」
「伯爵夫人お待たせして申し訳ありません」
「ご心配には及びません。アマルをよろしくお願いします」
「アマル、さぁ、、、」
殿下は何故か茫然と立ったままだ。
そして、私も茫然となった。
殿下が私をアマルと呼び捨てにしたこと。
殿下の正装をみたこと。
襟は私のサッシュとお揃いのラベンダーの生地に金糸と銀糸で百合の刺繍がしてあり、袖口とサッシュからも同じ意匠がこらされていたからだ。
殿下は正装に慣れてるので、とても似合ってるが、これは完全に一対になっていて顔が真っ赤になってるのが自分でもわかった。
そして、何故か殿下も真っ赤になっていた。




