アマルの決意 NO.1
「あなたは?」
「僕は、、、」
「ううっ だっ誰か!」
「フランソワ殿下!」
その後の私の人生に大きな影響を及ぼす事故だ。
当時、10歳で隣国へ留学する為に、第3王太子殿下が、お父様が治める領地で一泊されるご予定だった。
何も無ければ、翌朝一行は出発する。
晩餐までフランソワ殿下はお休みになると聞いていたので邸をあげて、その支度に追われてた。
お父様はオルセー王国と隣国サーシャ帝国の境界を代々治める武門の家系であるリーサ伯爵家の当主であり、将軍でもある。
私は当時10歳で、忙しさとは無縁で、晩餐の仕度をするまでの時間、庭園で遊んでいた。
そこで、その事故は起きた。
フランソワ殿下が狂った狼に襲われそうになったのを、私が咄嗟に庇って、背中に大けがを負ったのだ。
幸いフランソワ殿下は、かすり傷で済んだのだが、私は生死の境をさまよい1週間後にやっと意識を取り戻したと、後になってから聞かされた。
武門の家系でありながら、領地でフランソワ殿下にけがをさせたとあって、大問題になるところだったが、お父様のこれまでの王家への忠誠と、フランソワ王子が襲われたショックでその時の記憶が無くなったことで、事を荒立てて、恐怖を再現することをよしとせずに不問に付された。
また、私の背中の傷は令嬢として致命的な大きなもので傷跡は治ることは見込めないものだったのも考慮されたようだ。
フランソワ殿下一行は数日、滞在を伸ばされたが、無事に隣国に向けて出発された。
それまでの私は、武門の家系で育ったこともあって、子供用の偽剣で遊ぶ、活発で、明るく、それでいて優しい王子様が迎えに来ると夢見る少女だった。
お父様やお母様そして、2つ年上のお兄様から剣で遊ぶなど令嬢らしく無いと毎日注意されてた。
傷が治っても、部屋に閉じこもりがちな私をお父様やお母様やお兄様だけでなく、邸中で心配してくれた。
お母様はただ、何も言わずに抱きしめてくれたし、お父様は毎日、贈り物をくださって、やはり無言で頭をなでてくださった。
お兄様も毎日花を贈ってくれて
「アマルの事は僕が一生かけて守るから安心して」
と言った。
それ位、背中の傷は私の一生を左右するほど、痛ましいもので、この先、婚姻を結ぶことは無いと誰もが思ってた。
私は、それまで、白金の豊かな髪とラベンダー色の瞳を持つ美少女ともてはやされていたので、余計に周囲も私も落胆した。
あの事故から半年後に私は騎士になるとお父様に伝えて了承された。
お父様は沈んでいる私が目標を持った事で、その目標自体は何でも良かったのだと思う。