第九話 ダンジョンの初仕事は上々
ヤミーに縛られた盗賊達と冒険者に〈睡眠〉をかけて、ひたすら〈吸収〉。そして盗賊をダンジョンの6階へ冒険者を8階へ転送っと!
『ヘータさ〜ん、聞こえるっすか?盗賊20名が無事に6階入口に、冒険者2名が8階に転送されて来たっすよ〜。ちなみに冒険者の方はすぐやっちゃっても良いんすか?』
「おぉ〜聞こえてるよ!報告ありがとう。冒険者の方はやっちゃって構わないよ。念の為、〈睡眠〉の重ねがけしておいてあげて。」
『は〜い。了解っす!んじゃ、またっす。』
「は〜い。宜しく〜」
盗賊のアジトを漁っていると、今までの稼ぎであろう大金と、武具やアイテム、それに馬が5頭……
『どうした?さっさとダンジョンに行かないのか?』
「いやぁ、馬どうしようか悩んでて…」
『それなら、9階に転送しておけば良いんじゃないか⁈不要だと思ったら適当なタイミングで外に放牧すれば良いんだし。』
「そうだな。悩んでるよりかは、送っておいた方が間違いないな。ありがとう」
そしてお金、武具、アイテム類はマジックバッグへ、馬は9階に転送した。
「ただいま〜!ちょっと9階に馬5頭連れて来たから後で、馬小屋作ろう!」
『おかえりっす!了解。馬小屋ぐらいなら大した〈DP〉使わずにいけるっすよ。それより稼ぎはどうっすか?』
「お金の方は上々だな!さすが盗賊様だ。結構、溜め込んでたよ♪武具やアイテム類も結構あったから持って来た。〈DP〉に変えよう。」
「これで暫く、魔石を換金しなくても生活出来る。」
『おぉ〜、それは良かったっすね!ちなみに冒険者さんはもう召させて頂いたっすよ。ぼちぼちレベルもあったのでそこそこの〈DP〉貰えたっす。後は盗賊さん達が何日後に召されるかっすね⁈』
「おぉ!それは良いね。盗賊達もレベルはそこそこあるから、良い肥やしになると思うよ。」
そうして、翌日から数人ずつ盗賊が召されていき、4日後には最後の1人が召されて行った。水や食糧が無い事もあり、仲間内でのケンカ、迷路内のトラップなど結局、7階に辿り着かないどころか6階の1/3も進めずに召されて行った……
〈DP〉もやはり良いん感じで入って来ており、ダンコも上機嫌だ。ちなみに盗賊のアジトから持ち帰った武具やアイテムは全てダンジョンコアに吸い込ませ〈DP〉に変えた。
「さて、ダンジョンも上手く機能してるみたいだし、そろそろ王都へ行こうか⁈」
『そうだな。多分だが、王都には大精霊様がいると思うから、慎重に調べよう。』
「んじゃ、明日の朝に出発しよう」
そう決めた俺は王都までの距離やら移動手段を調べるため、冒険者ギルドへやって来た。受付嬢に確認すると、王都までは乗合の馬車で3日かかるとのこと。
その間冒険者は護衛を受けることで、料金が安くなり、運良くと言うか悪くと言うか魔物に襲われたりして、しっかり護衛出来れば、お金も貰えるらしい。
なので、護衛のクエストを受けておく事をお勧めされる。が、面倒には巻き込まれたく無いので、一般料金を支払い、護衛はしない方向で話を決めた。
受付嬢も俺のランクとレベルを見て、無理にとは言わない感じだったから助かった。
翌日、南門近くの乗合馬車の乗り口に向かうと8人乗り馬車が2台あり、それぞれの馬車に4人組の冒険者達が乗り、あとは一般の客が3人、4人と分かれて乗る。俺は3人の方だった。
さて、この王都までの道のりで、何のイベントが発生する事やら……と、思っていたが何事も無くすんなり王都へ着いたのだった。
王都へ到着するなり、ゾグゾクッと精霊の気配を感じ、これは完璧に大精霊がいる事を知らされる。
念の為、冒険者ギルドに寄り、安めの安心安全な宿を紹介してもらう。街の外へ出てダンジョンと行ったり来たりするよりか、宿からダンジョンへの方が安全だ。
それに王都だからとにかく街がデカい!街の外まで行くのも一苦労なのだ。
「さて、宿も紹介してもらったし、食事をとって今日は早めに寝ますかね」
『そうだな。夜中、調査に出ようと思ってるんだが、構わないか?』
「構わないよ!ただ、今まで以上に気をつけて!ここは王都、どんな優秀なやつがいるか分からないから、捕まらない様にね」
『うむ。油断はしない。』
ヤミーは仕事熱心だな……俺も明日から少し頑張るか……
そんな事を思いつつ、王都の食事を堪能し宿に戻ろうと歩いていると、傍の路地からスラム街が目にはいる。
そこはまだ昼過ぎだと言うのに薄暗く、あまり良い雰囲気ではない。やっぱり、こう言うところあるよな……こういうところから、片付けて行くのもありか?
俺としては国王とかお偉いさん方だけ残して後はダンジョン送りにしようと思ってる。嫌な奴は6階に、そうでも無い奴は8階にと。
まぁ、まだその段階では無いけど、もしスラム街の子供とか見ちゃったら、早めに送ってあげたいよなぁ。と思ってしまう。
まっ、とりあえず今日はスルーしよう。また明日以降に考えよう。
ヤミーが調査に行く間は、俺は宿で寝る事にする。何か不具合があるといけないからだ。翌日、ヤミーからの報告に思わず声を上げる程に驚いてしまった。