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人類殲滅ときどきスローライフ  作者: こぶこぶ
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第二十話 表と裏

 俺とディーネが張り込んでから3日後の夜、盗賊達は現れ、女子供を攫い始めた。事前に盗賊が出た際の手筈は決めておいたので、ディーネは素早く盗賊の影に潜り込んだ。


 やはり、麻痺させる魔道具を使っているみたいで、デザインも同じだ。この盗賊も〈サーベルタイガー〉か?


 そして、あっという間に、盗賊達は5人程の女子供を攫い、街の外へ出て少し行ったところで全員が消えた。


 そう、本当に消えたのだ。予想はしていた。多分、転移系の魔法もしくは魔道具なんかがあるんじゃないかなと…


 俺は消えた辺りを調べたが魔法陣や設置型のギミックは無く、携帯型かもしくは、とてつもない魔術師か…多分、携帯型の魔道具だろうが。


 そして一度ダンジョンへ戻り、ディーネの帰りを待つ。こうなることも想定して、もし、転移系で飛ばされて、すぐさま危険な状況なら、速攻でダンジョンに戻る。そうで無ければ、情報収集してからダンジョンに戻る。


 ダンジョンで待つ事、数時間が経った頃にディーネは戻って来た。


 「おかえり。どうだった?」


 『ただいま。とりあえず、盗賊のアジトは〈デルフィーノ〉の陸から50mほど離れた海上にある、大きな廃船の中よ。』


 「なるほど。やっぱり転移系の魔道具で移動したんだね。」


 『そうね。ヘータが〈デルフィーノ〉に向かう間、休ませてもらって良いかしら?ちょっと、整理するわ。』


 「OK!んじゃ、〈デルフィーノ〉に着いたら、またダンジョンに戻って来るよ。その時に整理した情報を元に作戦立てよう」


 『ありがとう。じゃぁ申し訳ないけど、休ませてもらうわ』


 そう言って、複雑な表情をしたディーネは自分の部屋へと戻って行った。


 「これは、何かあったな……」


 俺は色々なパターンを考えつつ、全速で〈デルフィーノ〉に向かっていた。



 そして、その日の夕方には無事に街の外に着き、そこからダンジョンへ戻った。


 するとディーネがお茶を用意して出迎えてくれた。


 「ただいま」


 『おかえり』


 何気ない挨拶を交わした後、用意されたお茶を飲みつつ、ディーネの話を聞いた。


 やはり盗賊達は〈サーベルタイガー〉で、長はディーネの父であった。何と生きていたらしい。しかし、ディーネの記憶にある、優しく力強い面影は無く、すっかり悪人そのものに。


 しかも、攫った女獣人をその場で犯し始め、自分が満足した後は部下達に犯させたという。


 自分の父が生きていただけでは無く、闇落ちし挙句に醜悪な行為を見てしまっては、確かに気持ちの置き場所は無いな…


 盗賊の数は全員で30人ほど、内、人族はディーネの父を含めて3人で幹部だ。残りは獣人族の様で普通に戦えば、勝ち目が無いほど戦力としては大きい。


 基本的に獣人族は身体能力が人族の数倍あり、余程の事が無い限り、力弱い人族に従う事はないらしい。だからこそ、人族の3人がそれなりの力を持っているであろう事が予想出来る。


 だけど、俺らのやる事は変わらない。ディーネに捕縛してもらい、俺が眠らせダンジョンに送る。実行するのは夜。そう、やる事は変わらないのだ。


 そして、アジトには居なかった様だが、精霊の気配をこの街に感じたと言う。


 先ずは盗賊の処理、それが落ち着き次第、正式に街へ入り、精霊の捜索と救出だ。


 「ディーネ、父親と話す時間は必要?」


 『いえ、必要ないわ。これ以上知りたいとも思わないし、知る必要も無いわ』


 「分かった。じゃあ速やかにダンジョンへ送るよ」


 『えぇ、それでお願い』


 そして俺とディーネは、夕飯を済ませ少し仮眠をとり、準備する。


 街の外へ転移し、そこから海上の廃船へ向かう。


 そして、いつも通りとは行か無かった。明らかに戦力がありディーネの捕縛が思う様にいかなかったのだ、俺が〈吸収〉と〈睡眠〉で弱らせてから捕まえるという一手間があり、少し時間が掛かってしまった。


 『ヘータ。やっぱり父と話す時間を少し貰っても良いかしら?』


 「あぁ、構わないよ。その間、俺はアジトの中を調べて来る」


 「念の為、〈吸収〉でかなり弱らせておくね」


 『ありがとう。ごめんね!』


 ディーネが父親と話をしている間に残りの盗賊達と、攫われた人達をそれぞれダンジョンに送る。


 お金や魔道具、色々な書類を回収しながら各部屋を回る。




 『あなたは、死んだのでは無かったのですか?』

 

 『俺が死んだ事にしてもらったんだよ!お前、ディーネだろ?母に似て綺麗になったな』


 『何故、闇に堕ちた?』


 『闇に堕ちた?俺はお前の母と出会う前から、この盗賊団の団長だが?まぁ、アイツは俺が盗賊の団長やってるなんて知らなかったのだろうけどな』


 『母を騙して居たのか?』


 『騙す?何を?俺は正真正銘のAランク冒険者であり、盗賊団の団長。どちらの顔も俺だ。アイツは見たい方だけを見てたんだろ!』


 『それに、お前は母の何も知らない様だな』


 『確かに私は何も知らない。それでもお前が死んだ後、私を育てる為に1人頑張ってくれた。』


 『その認識がお前の全てか…めでたい奴だ』


 『どう言う意味だ?』


 『お前の母は、どうしようもない女だ。表向きは俺と同じくAランク冒険者だが、裏では相手が居る男を寝取る事に興じていた。』


 『俺はそれを知っていたから、近づき孕ませた。俺の仲間もあの女の餌食になっていたからな。これで少しは大人しくなるかと思ったんだがな』


 『……そんな嘘だっ!』


 『まぁ、信じる信じないはお前の勝手にしろ!俺は俺の見聞きし、体験した事しか話せん。』


 『俺は、あの女とお前の世話に飽きて、死んだ事にしてもらい、盗賊業に専念し始めたんだよ』


 『……』


 「ディーネ、話は終わった?」


 『えぇ、もうこの男を送ってもらって構わないわ』


 『お前がディーネの男か?コイツには気をつけろよ!あの女と俺の血を引いてるからな。最低な女に育つだろうよ!ワァ〜ハッハッハ〜』


 気持ちよさそうに大声で笑うディーネの父。


 「あぁ、構わないよ。俺も最低な男だからね。安心して、死んで下さい」


 そう言い返して、ディーネの父をダンジョンへ送った。

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