第十五話 盗賊団〈サーベルタイガー〉
国境の街〈スコルピオーネ〉へ向けて歩き出してから3日後、小さな商隊とすれ違う。護衛の冒険者があと1週間も行ったところに盗賊が出るかもしれないから気を付けろと、アドバイスをくれた。
思わぬ収入チャンス到来。その事をディーネに話す。
「今の冒険者の話、聞いた?盗賊が出るみたい」
『そうらしいわね。嬉しそうだけど、どうしたの?』
「いやぁ、盗賊のアジト見つけて、お宝貰おうかと思って。ついでに盗賊達をダンジョンに送り込もかと思ってさ」
『あら、面白そうね!それなら、私が囮役やろうかな⁈』
ディーネは何故か乗り気だった…
「いや、ディーネに危ない事はさせたく無いよ」
『ありがとう。でも、盗賊が出てこないとアジト見つけるのも一苦労でしょ?』
「まぁ、そうなんだけどさ。2人でも襲ってくれると思うんだよね」
『でも、女1人の方が確実でしょ?』
「確かにそうだね…」
『なら、私がディーネの影に潜っておく。これで心配ないだろう?』
「確かに、ヤミーが付いていてくれるなら、安心するよ。ありがとう」
こうして、ディーネの一人旅(ヤミーの護衛付き)が始まった。ディーネは昼間移動して、夜は野営をする。俺は逆に夜移動してディーネとの距離が離れ過ぎない様にした。
勿論、〈気配操作〉で気配を完全に消して移動している。そして5日後の夜、野営をしているディーネの周りに複数の気配を感じた。
『ヘータ、近くにいるか?多分、盗賊だと思うが出たぞ!』
「あぁ、目視出来るところにいる。俺も気配は察知してる。一応、ディーネにも伝えてもらえる?」
『問題無い。もう伝えてある。何故か、楽しそうにしている事が不安だが…』
「ん〜了解!ありがとう。」
それにしてもディーネは何故、楽しそうなんだか?
そんな事を考えていると、10人ほどの盗賊達は見覚えのある道具を持っており、ディーネのテントへ近づき、ディーネを拘束した。そう、麻痺させる魔道具を使ったのだ。
俺とヤミーは前回の盗賊討伐と同様に、ヤミーはそのままディーネの影の中に、俺は気配を消して尾行。アッサリと盗賊のアジトへ着いた。前回の様な洞窟のアジトでは無く、完全に村だ。
4,50人はいるが女子供は1人もいない。畑らしきものもあるが、何かを育ててる様子も無い。コレ完全に盗賊に襲われた村だな……
一応、ダンコにも連絡を入れておき、ヤミーがアッサリと全員拘束し、俺が〈睡眠〉からの〈吸収〉そしてダンジョンへ転送!ディーネを解放してからお宝採取。
「ところで、ヤミーから聞いたんだけど、盗賊が出たって聞いた時にディーネは楽しそうにしてたらしいけど、何故?」
『えっ?だって、悪者から助けて貰うお姫様気分を味わえると思って♪』
『それに、お金とかあればこの先も楽になるじゃない⁈必ず安全って保証があるのに、怖がる必要なんてないじゃない!』
「あれ?確かにヤミーがいるから安全だけれども100%では無いじゃん。」
『まぁ、ほらね。襲うぞって雰囲気出してる人には警戒出来るけど、そうじゃ無い人で無警戒の時に襲われた事のある経験があるからね……』
『その時に比べれば怖さなんて無いわよ!それにヘータが必ず護ってくれるでしょ?』
「なるほどね!必ず護りたいとは思ってるけど、あまり信用しないで。俺もただの人間なんだから」
『ヘータがただの人間な訳ないじゃない。それに必ず護ってくれるって、何の根拠もないけど心の奥からそう思えるの。そして、私もヘータを護りたいと……』
「善処します!あと、ありがとう。」
とても恥ずかしくなり、言葉が上手く出なかった…
盗賊の村を調べていると、お金、魔道具、食糧、そして〈スコルピオーネ〉領の領主との人心売買の履歴の証書が見つかった。
しかもその証書には〈サーベルタイガー・スデェスト第一支部〉と書かれていたのだ。多分、〈サーベルタイガー〉は盗賊団の名前。ということは、盗賊団は第二支部もあるかもだし、他国にも支部があると言う事。かなり大きな組織っぽいな…
お金もそこそこあるし、良い稼ぎになったのは間違いないが、それよりもまだまだ他にこの盗賊団がいる事が嬉しく思えた。
ディーネも同じ様に思ったらしく
『まだまだ、ありそうね!魔石を売るより効率よく稼げそうだから有難いわね!』
「18歳の女の子の台詞じゃない気がするけど」
『あら。ヘータの生まれ育った国では分からないけど、この国では18歳は大人よ!』
「返す言葉もございません。」
そう言うと、ディーネは笑って戯けていた。
「んじゃ、ディーネのテントとか回収して、俺らもダンジョンに戻ろうか?」
『そうね、ふかふかのベッドで休みたいわ』
そうして、俺とディーネは野営用のテントを回収し、ダンジョンに戻り我が家でゆっくりと休んだ。ちなみに魔道具の類は〈魔石〉を動力としていたため、ダンジョンコアに吸い込ませておいた。
翌朝、ディーネが作った朝食を食べ、街道に戻り〈スコルピオーネ〉への旅を再開しようとしたその時、急にダンコが声を荒げて家に入って来た。




