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人類殲滅ときどきスローライフ  作者: こぶこぶ
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第一話 女神様と精霊神様

 俺は〈泉 平太〉47歳、只今求職中で、20代前半から特に夢や希望もなくダラダラ過ごしてきた所謂負け組である。強いて言えば人類がいなくなった後の地球の姿に興味があるわけだが、見れる訳がなく、ただただ思い馳せるだけなのだ。


 今日もお気に入りの酒を呑みながら動画を見て、ただ無駄に時間を潰して寝に入る。寝る前にふと「人類を滅亡させる力があればなぁ」と、今までに何千、何万回と頭に沸いたことを呟き目を閉じる…




 『見つけたのじゃ!丁度良さそうな奴を。見つけたのじゃ〜♪』


 元気ハツラツな声にふと目をやると、そこには可愛らしくキャッキャとはしゃぎ小躍りしている女性がいた。


 「あの〜、お宅誰?んで、ここは何処?」


 『妾か?妾は女神〈ノジャール〉なのじゃ!』

 『で、ここは神界なのじゃ!』


 …のじゃのじゃ面倒臭そうな人だな、可愛らしいのに勿体無い。夢なのに俺ってば割と冷静じゃないか(笑)


 「で、俺は何で此処にいるんですか?」


 『ふむ。お主は人類を滅亡させたいのじゃろ?その夢を叶えさせてあげるのじゃ』

 『ただ…お主のいた星ではなく、こちらの用意した別の星になるのじゃがな。』


 なるほど、遂にこんなイタイ夢を見るようになってしまったか…はぁ、俺って病み始めたかな…


 「それはそうなんですが、別にむやみに人を殺したいとか、そういうのでは無いんですよ。ただ、俺がいた星の人類は俺も含めてどうしようも無い奴が多くて、負の感情がとうしても沸いてきてしまって…」


 「あのぉ、うまく説明出来ないんですが、俺のいた星、〈地球〉って、言うんですが、自然は綺麗で怖いモノだったのでそれが人がいなくなった後、どうなるのか見たかったと言うか何と言えば良いか…」


 『うむ。大丈夫なのじゃ!むしろ其方が人を直接殺してしまうとマズいのじゃ。』


 それから幾時か、この女神と話をして異世界の人類を殲滅してほしい理由や、俺が直接に人を殺めてはいけない理由なども、理解した。


 今この世界は〈魔素〉の飽和により星の機能が正常に働いておらず、あと100年程で爆発してしまうとのこと。


 〈魔素〉とはこの世界の生けるモノの負の感情から生み出されるモノらしく、通常なら〈精霊樹〉なる物が〈魔素〉を吸収し、正なる〈マナ〉を吐き出し世界のバランスを保っているそうな。その〈精霊樹〉も今は枯れかけているらしい。


 そして、人類が進化・発展・破壊を繰り返し、星の寿命が1000年程に迫った時に女神〈ノジャール〉様による神託を下さった様で、人類は《勇者召喚》を行い、魔王及び魔族の殲滅を行なったそうな。


 また、この《勇者召喚&魔王・魔族の殲滅》これが見当違いの行いだったらしく、星の寿命をさらに縮める事に…


 《勇者召喚》にかかる莫大なエネルギーは〈マナ〉の消費を早め、《魔王・魔族の殲滅》は〈魔素〉の消費を大幅に鈍らせる事になる。つまり最悪の一手だった訳だ。


 更に更に、勇者と共に戦った大精霊達の力を利用出来る事を知った人類は魔族殲滅後に大精霊達を勇者の装備に呪縛し利用し、尚且つ中精霊や小精霊達を乱獲捕縛し、軍事利用したり、生活基盤の発展へとやりたい放題により、星の寿命の短縮を早めたそうで…



 アッという間に、残り100年になってしまったそうな。そんで、俺がやるべき事は


 ・人類の殲滅(直接殺めることは極力NG。神の使いの様な俺が直接1人殺めると星の寿命を1日減らしてしまう)→〈魔素〉の生産を止める


 ・捕まっている精霊達の救出


 ・枯れかけの精霊樹の救済


 ・〈魔素〉の大量消費


 だ、そうだ。



 女神様の要望に納得し、質問してみた。


 「それで何か特別なスキルや能力は頂けるのでしょうか?」


 すると女神様は


 『何が良いのじゃ?一つだけ付けてあげるのじゃ!ちなみに〈魔素〉に耐えられる体と、お約束の〈マジックバック〉は渡すのじゃ♪』


 俺は少し考え、〈吸収〉というスキルを貰うことにし、女神様と交渉が終わる頃に、小動物を連れた少女がコチラに向かってくるのが見えた。


 『其奴が、最後のアテか?ノジャールよ。』


 と、その少女が女神様に向かい話しかけたと思った瞬間、黒猫をこちらに差し出してこう言った。


 『この者は〈闇属性の精霊の眷属〉ヤミーちゃん。お主に付けるが故、連れて行くと良い!』


 さらに続けて


 『〈精霊神の加護〉を授ける。これで精霊達の気配察知や、コミュニケーションが取れるだろ!頼んだよ!』


 『あっ、ちなみに私は精霊神〈ノエル〉。精霊達を救出したら、念じてくれ一度コチラで回収し、精霊樹の下へ転送する故に。』


 差し出された黒猫を触るとこの感触、夢じゃ無くね?と、ふと思った瞬間、精霊神様が


 『夢な訳ないでしょ(笑)』


 と呟いて去って行った。


 あっ、コレマジな奴だ…と、今更ながら軽くテンパり出した時に。


 『んじゃ、転移させまーす!のじゃ』


 と、女神様の声を最後に周りが白く眩しく輝いたのだった。

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