心霊捜査
「参考資料…さっきもお宝がどうとか、言ってましたよね?」
文月の不信顔に向井は決心した様に話し始めた。
「ああ…赤本が、関わってるかもしてないんだ。」
向井は表面上は冷静を保っていたが、瞳の内側に冒険を楽しむ少年の衝動を隠しきれずにいる。
「あ、赤、ぼん…ですか?」
文月が当惑しているのを感じると、向井は慌てて説明を始める。
「ああ、黒本…グリモワールは西洋ファンタジーでも有名だから知ってつかも知れないけれど、英国には悪魔の赤い本の伝説があるんだ。」
向井は醤油の話でもする様に流すが、文月には黒本なんて知らなかった。
「は、はあ。」
文月は黒本のツッコミをするのはやめた。どうせ魔術関係の本だろうし、それは文月にも乱歩作品にも関係ないと思ったからだ。
「アッピンの赤い本と言われていてね。大魔王バールの本だと言われている。」
「それ、『悪霊』に関係ありますか?」
大魔王の言葉の出現に文月は構える。
「あるよ。まず、この話で乱歩先生は心霊事件を心理学で説明しようと考えている。
殺された人間から犯人を聞くのが1番確かだろ?」
向井は何やら嬉しそうである。
「そうでしょうか…」
芥川作『藪の中』の内容を思い出した文月は、被害者の霊を疑った。それより何より、霊媒師が事件を解決しまくったら、読者に飽きられるに違いない。
「いまは、確かに懐疑的にはなるだろうね、でも、30年後には普通に認知されてるに違いないよ。『心霊捜査』を。」
向井は嬉しそうに話すが、文月は慌てる。心霊捜査?あの、18才の龍ちゃんの思し召しで犯人をあげるのだろうか?
「そんな思し召しで犯人を特定しても、未来人は良くても現代の雑誌の読者は認めませんよ。」
文月はふきげんに向井に言う。すると、向井もそこは同意する。
「ああ、ただ、霊媒師が犯人を名指ししても、それで現代人が納得するわけはない。
霊媒師はあくまで、犯人の特徴や動機を推察するだけで、そこから、近代捜査を始める、と、行かなきゃいけなかったはずなんだ。でも、捜査の段階を表現が無いのは、実在しているはなし、もしくは文献を余り変えずに使ったから、じゃ、無いかと思うんだ。」




