引っ越しそば
「かなめさん、荷物はこれで終わり?」
「うん、後は処分する物だからここに置いておくの」
「わかった」
かなめの荷物をトラックに積む。結婚式も終わり今日は引っ越しの日。
二人で同時に引っ越すのも大変だと話し、かなめのアパートより広い正治のアパートに引っ越すことにした。荷物もほとんど処分することにしたので、運ぶ物は身の回りの物くらいだ。もともと質素な生活をしていたので荷物もたいした量ではなかった。正治のアパートに着いて荷物を入れる。
「とりあえず、使ってない部屋にかなめさんの荷物入れちゃうね。そのまま、かなめさんの部屋にしちゃってもいいし。あ、けど寝室はこっちだからね」
さらっと言われ少し赤面する。荷物をすべて入れ終え、時計を見るとお昼になっていた。
「正治さん、そろそろお昼だけどどうする?」
「食べに行ってもいいし、家で食べてもいいけど冷蔵庫に何も入ってないや」
「じゃぁ、買い物に行く?」
「そうしよう」
近所のスーパーに二人で歩いて行く。
「何食べる?」
「引っ越しそばとか?」
「いいね。じゃぁ、今日の昼はそばにしよう。そばって色々な食べ方あるけど、正治さんは何が好き?」
「俺は、天ぷらそばが好き。かなめさんは?」
「私は、山菜そばも好きだしかき揚げそばも好き。おなか空いたし、天ぷらそばにしようか」
「うん。かき揚げそばでいいよ。楽しみだな。寒いから手をつないでいこう」
差し伸べられた手を躊躇なく握り、幸せをかみしめる。
ネギ、ちくわ、タマネギ、にんじんを細く刻みボールに天ぷら粉をいれ先に材料に小麦をつける。
そして天ぷら粉を作ったボールに材料をいれ、180℃であげていく。
天ぷらを揚げている間に、そばつゆを温めておく。かき揚げが一つ出来たらそばを茹で始める。お盆にそばと天ぷらをのせて、付け合わせの漬物を添えてテーブルに出す。
「出来たよ」
部屋に掃除機をかけてくれている正治に声をかけ席に座る。
「おいしそう!じゃぁ、いただきます」
「いただきます」
サクッとした衣のかき揚げはそのまま食べてもとてもおいしい。半分食べたらそばの上にのせてかき揚げそばとして食べる。浸して食べてもいいが、半分サクサクしている状態も少し楽しみたい。ふと正治を見ると正治は最初に乗せる派ということが分かった。
「かなめさんは3パターンで食べるんだね」
「そう。正治さんは?」
「ぼくは、天つゆに浸して食べるのが好きなんだ。かなめさんのかき揚げは竹輪が入ってるからおいしいね!」
「竹輪だけであげても良かったんだけど、今日はかき揚げだから全部入れちゃった。サツマイモやゴボウがあったらそれも入れちゃうの」
「食感がよさそうでいいね。今度作って」
「うん」
「あーおいしかった。天ぷらまだある?」
「あるよ」
「ひとつ食べたいな」
「はい」
「沢山残ったね」
「残った天ぷらは冷凍しておいて、天丼や天ぷらうどんとしてお弁当で持って行こうと思って」
「かなめさんお弁当持って行くの?」
「うん。外食は高いからね」
「僕にも作ってっていったら迷惑?」
「そんなことないよ。じゃぁ、明後日からお弁当作るね」
「やった。じゃぁ、台所の片付けは僕がしておくから、かなめさんは自分の部屋の荷物片付けてきて」
「いいの?」
「ご飯作ってもらったんだから片付けるのは僕の仕事だよ。それに、早くイチャイチャしたいしね。頑張って」
とびきりの笑顔で頬にキスをされてしまった。私のご主人様はとてもかわいい人でした。