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ヒューマンドラマ

「おい、貴様。猫耳は好きか?」

作者: たこす

ただただ可愛いのが書きたくなっただけの作品です。

「おい、貴様。猫耳は好きか?」


 道を歩いてると、突然ひとりの女の子に声をかけられた。

 フリルのスカートをはいた可愛らしい女の子だった。


「ね、猫耳ですか?」

「ああ、そうだ。猫耳だ」

「嫌いではありませんけど……」


 そう答えると、女の子は「そうか」と言ってどこかへ消えていった。

 な、なんだったんだ?




 翌日。




「貴様の言う通り、猫耳にしてきたぞ」


 あの女の子が再び声をかけてきた。

 カチューシャだろうか、頭に猫耳をつけている。


「は、はあ」

「どうだ? キュンとなったか?」

「は?」

「こう、胸がキュンキュンしないか?」

「い、いや、あまり……」

「しないのか?」

「はあ……」

「ガッデム!!」


 なぜか女の子はそう言って地団太を踏んだ。


「じゃあ猫の手はどうだ?」

「はい?」

「猫の手は好きか?」

「え、ええ、まあ。にゃんにゃんポーズとか萌えますけど……」

「そうか」


 女の子はそう言ってまたどこかへ消えていった。




 翌日。




「どうだ、猫の手にしてきたぞ」


 再び女の子が現れて、猫の手でにゃんにゃんポーズを決めてきた。頭にはもちろん猫耳のカチューシャをつけている。


「萌えたか?」

「ええと……」


 どうしよう、萌える萌えない以前に、この女の子の目的がわからない。


「萌えなかったか?」

「え、ええ、まあ、はい」

「ガッデム!!」


 なんなんだ、この女の子は。


「猫耳に猫の手だぞ! なぜ萌えない!」

「なぜと言われましても……」


 逆に怖くて萌えるどころじゃない。


「ならば尻尾はどうだ!? 尻尾は好きか!?」

「は、はい。ブンブン振ってる尻尾は好きです」

「そうか」


 女の子はそう言ってまたどこかへ消えて行った。




 翌日。




「どうだ、尻尾もつけてきたぞ」


 どうなってるのか、今度はスカートの隙間から尻尾を生やしてきた。

 どういうからくりなのか、見事なまでにブンブン動いている。


「猫耳に猫の手に尻尾。どうだ? 完璧だろう?」

「え、ええ、はい」

「キュンとなったか?」

「っていうか、僕に何か用ですか?」


 いまさらながら女の子に尋ねてみた。

 なんでこの子は毎日僕に声をかけてくるのだろう。


「何か用かだと?」


 女の子はムッとした表情で僕を見つめた。


「見てわからぬか!」


 わからないから聞いてるんですけど……。


「ほれ、あれだ!」


 そう言って女の子が指さした先には、茂みに隠れて大きな段ボールが置かれていた。

 そしてそこには大きな文字で



『誰か拾ってください』



 と書かれている。



 ええー……。



 なにこれ。



 ええー……。



「これでわかったか?」

「いや、全然わからないんですけど……」

「わからない?」

「ど、どういうことですか? 家出少女?」


 すると女の子はまたもや「ガッデム!!」と言いながら地団太を踏んだ。


「捨てられたんだよ、私は!」

「はい?」

「捨て猫! いきなり飼ってた人間に捨てられたの!」

「えーと……」


 ちょっと待って。

 話についていけない。

 捨てられたってなに?

 いや、それよりも捨て猫って……。


「捨て……猫?」

「猫の姿だと誰も拾ってくれないと思って人間の姿に化けてるの!」



 ええー……。



 その設定、無理ありすぎません?

 どうせ家出少女がなんだかんだ理由付けて拾ってくれる人を探してるだけでしょ。


 そんな僕の思いに気付いてか、女の子は言った。


「……貴様、信じてないな」

「信じるもなにも、猫が人になるなんて……」

「よし、わかった。見ておれ」


 女の子はそう言うなり、眩い光を発し始めた。


「うわっ!」


 するとなんということだろう。

 女の子の身体がみるみる小さくなっていき、両手サイズの小さな子猫に変わったのだった。



「みゃうみゃう」



 か。



 か。



 かわええええーーーーーー!!!!!



 目の前で起こったことが信じられないけど、それ以上に目の前の子猫の可愛さに目が奪われた。



 子猫はみゃうみゃう言いながら僕の手をスリスリしてくる。



 かわええええええーーーーーー!!!!!



 すると、子猫はまた女の子の姿に戻って言った。


「どうだ、これで信じたか?」

「猫がいい!」

「……は?」

「猫の姿の方がいい!」


 いや、女の子も可愛くないわけはないんだけど。

 子猫の可愛さ爆弾にはかなわない。


「ね、猫のほうが可愛いか?」


 そう言いながらなんだか照れている女の子。

 こうして見ると照れてる顔もまた可愛く思えてくる。


「うん! 猫の方が可愛い!」

「猫の姿になったら拾ってくれるか?」


 どうしよう。

 ここで拾わないという選択肢はできない。

 僕は即座に「うん」と言って女の子の手を握った。


「ところで君、なんで僕に毎日話しかけてきたの?」

「それは……貴様がなんだか大事にしてくれそうな人だったから……」


 そう言って顔を真っ赤に染めてそっぽ向く女の子。



 か、かわえええーーーーー!!!!!



 きたこれ。



 かわえええええーーーーーー!!!!!



「そっか。それで毎日僕の前に姿を現していたんだ」

「だ、だからっていい気になるなよ! 私はぶっちゃけ誰でもよかったんだからな!」


 このツンデレ最高!

 このツンデレいい!


「そうなんだ。それじゃあまずは君の名前を決めなきゃね」

「そうだな。名前は貴様に任せる」

「えーと……タマ……」

「ありきたりなのは却下!」


 ムッとしながらも、尻尾をブンブンと嬉しそうに振っていてさらにキュンとなる。


「それよりもご主人様」

「ん?」


 いきなりご主人様呼び。

 も、萌える!!!!


「お腹空いた」

「よし、家に帰ったらまずご飯食べよう! キャットフードないけど」

「うむ、よかろう」


 女の子はそう言って耳をピョコピョコ動かしながら笑った。



お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 猫かわいいもんね。 でも人のほうも堪能したい。 (*゜∀゜)*。_。)*゜∀゜)*。_。)
[良い点] シンプルなセリフと 分かりやすいキャラの動作 あと、面白い地団太♪ とても、おもしろかったです♪ [一言] その手があったぁ! と思った事は秘密なのです! 私も猫の姿に戻れば良いのです…
[一言] "ネコ耳"も"猫の手"も"尻尾"も オッサンだったら台無しでしたね これも猫の"女の子形態"が好みのタイプではなかったらどういう結果になったんだろう
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