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11,錬成過程。

 


「では、錬成を始めますね」


 シーラが驚いた。

「いまここでできるの?」

「はい? ええ、そうです。錬成用の素材は、私が所有したと認識されることで、手元になくとも消費できますので」


 アリシアは脳内に、素材保管庫にしまった数々の素材の一覧を出す。


 さて。

 クレイモアの強みは、その破壊力にあるだろう。しかしまともに振り回せないようでは意味がない。

 重力石を消費して、錬成。

『重さ10分の1』の効果を付与する。これでもまだ重みはあるが、羽のように軽くし過ぎるのも違和感があって使いづらいかもしれないので、これでよし。


 どちらかといえば、打撃時の衝撃だろう。この衝撃を、ライラの華奢な身体でおさえきれるとは思えない。

 クレイモアを装備時、ライラの肉体も補強しておいたほうがいいだろう。

 強靭草なる素材を複数使用して、『装備者のSTRが300パーセント上がる』の効果を付与。

 硬蔓の素材で『装備者のDEFを200パーセント上がる』の効果も付与。


 だがこれだけでは、黒弩龍の攻撃にさらされて無事で済むとは思えない。

 しかし装備者であるライラ自身の防御を挙げるのには限界がある。そこでクレイモアを盾として使用することだ。

 輝防石を使って『クレイモアの剣身を盾として使用したとき、敵の攻撃を無効化する』効果を付与。

 完全防御だが、ちゃんと『防御の姿勢』を取らないと効果は発動できない。そこはライラに言ってきかせる必要がある。


(相手の攻撃が速ければ、ライラは防御姿勢を取れないでしょうね)


 というわけで、素材レベル最大の時水晶を惜しげもなく使って、錬成。

 これによってクレイモアに『装備者が攻撃を受けたとき体感時間が10倍になる』という特殊効果を付与できる。

 アリシアの理解では、黒弩龍が攻撃してきたとき、ライラの体感時間は10倍となるので、余裕をもって判断(防御かカウンター攻撃かなど)することができる。


「シーラさん。黒弩龍というのをよく知らないのですが、何か注意することはありますか」

「闇属性の攻撃を使い、光属性が弱点──らしいよ」

「でしたら」


 闇属性耐性の効果を付与しようと思ったが、適合する素材がない。

(まぁ耐性はなくとも、『クレイモアの剣身を盾として使用したとき、敵の攻撃を無効化する』効果で十分ですか)


 光天晶という光属性の魔法水晶を使用し、クレイモアに『光属性』を付与。

 これで光属性攻撃となり、黒弩龍に効果的なダメージを与えられるだろう。


 その強みに上乗せする形で、別の素材を使い、『敵の弱点属性で攻撃した場合、クリティカルダメージになる』という特殊効果を付与した。

 さらに異なる素材で『クリティカル時、ダメージが増加する』の効果も付与。


(通常攻撃から光属性攻撃→黒弩龍の弱点なので全てがクリティカルヒット→クリティカル時のダメージが増加する。つまり、すべての通常攻撃で、かなりの大ダメージが期待できる、ということです)


 じっと待っていたライラが、興味深そうに聞いてきた。


「ねぇ、その錬成というのはよく分からないんだけど、アタシのクレちゃんを強くしてくれているのよね?」

「クレちゃん?」

「クレイモアのクレちゃん」

「なるほど。そうですよ。クレちゃんを強くしています」

「それなら必殺技が欲しいんだけど。こう、びしっと決める感じの」

「必殺技ですか」


 それは錬成スキルで付与できる類のものなのだろうか。


「…………あっ、分かりました。難しく考える必要はありませんでしたね」


 覇石というレベル4の素材では、『特定条件下で攻撃力が格段に増加する』という効果を付与することができる。

 この『特定条件下』は曖昧だったが、錬成スキルの応用で、少し手を加える。

 つまり音声認識に。


「必殺技を唱えたとき、次の斬撃の攻撃力が増加しますので、それは必殺技となるでしょう。音声登録しますので、必殺技名をお教えください」


 ライラは前々から考えていたようで、即答。

「〈破動撃裂斬〉よ!!」


「…………………まぁ、これは人の好みの問題ですので。〈破動撃裂斬〉ですね」

 正直、こんなに長い必殺技名を、命がけのバトル時に唱える余裕があるのか、謎だったが。


「こんなところでしょうか。あまりに特殊効果を付与しすぎますと、それぞれの効果が喧嘩しあってしまうかもしれませんので」


 しかしアリシアは一考して、閂石を消費。

 このクレイモアにロック機能をつけた。指紋認証で。

 つまり正式な装備者であるライラの指紋にしか、付与した効果群は反応しない、という仕組みだ。


 これによってこのクレイモアが奪われても、ライラ以外の者が装備しても、いまつけた特殊効果は発動しない。これで悪人の手にわたったらどうするのか、という道義的問題もクリア。


「ではライラ。錬成店の宣伝を是非ともしてきてください」

「えっ?」


「黒弩龍を真っ二つにしてきてください」

「オーケイ!!!」

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