プロローグ
前の作品が行き詰まったので仕切り直しです。基本設定は同じです。
できれば週一でがんばります。
よろしくおねがいします。
2021.2.21 改稿
プロローグ
国境を挟んで広がる平原はすでに焼け野原だった。
敵味方関係なく見渡す限り両軍の兵器は全て破壊され、あたり一面に転がっている兵隊は、皆息をしていなかった。
「あとはあなただけですよ」
日本刀を構えたメイド服の少女が、目の前の敵に話しかける。
「そうですね」
執事服を身に纏った少年が答える。
すでに上着を脱ぎ捨てネクタイを外した状態ではあるが、ズボンもワイシャツもすでにボロボロである。ワイシャツなど、着ている意味があるかと言うほど切り刻まれていて、きれいな肌が露出している。その肌も、けれど傷だらけだった。
それは少女も同じだった。
肌を露出するほどではないが、防御を強化したメイド服は、それを頼りに出来ないほどボロボロになっていた。
少年が思いついたように一度だけ手を叩く。
「そうだ、一つお願いがあるんですよ」
臨戦態勢のまま、少年が親しげに話を始めた。
「ボクね、あなたの事がとても気にいったのですよ。ボクが勝ったら、ボクの恋人になってもらえませんか」
「は?」
場違いな提案にその少女は、自分でも驚いたかのような声を出した。
少年は見た目が十五~六歳くらいで、少女とは同世代だろう。そういう関係になる条件としては悪くない。年代的にも戦闘力的にもお似合いには違いない、
でも、戦場でナンパとか信じられない。
そもそも敵同士である。
ただ、こいつはそういう思考をすると、今までの行動から推測できた。
だから、多分答えは一つだ。
「いいですよ」
「いいの?」
「死体で良ければお好きにどうぞ」
負けるということは死ぬと同義だ。
いや、死ぬまで負けを認めるつもりはなかった。
負けを認めるまでは負けることはない。
そう言ったの誰だたろうか。
そりゃないや、とつぶやいて少年は攻撃をすべく構え直す。
対する少女も日本刀を握り直し空を見上げる。
それにつられて視線を上げる。
雲がとても高かった。