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6話 魔力量の真実

 入学式と選定が終わりマイルームへ帰ってきた。

 疲れたのは多分たくさんのひとの中で雰囲気にのまれたから。あんなに人が集まっているのを見だことなんて今までなかった。


 心底、最北の華月の里は過疎化が進んでいたのだとようやく理解した。


「失礼します」


「あら、お帰り。…なんか疲れてる?朝より元気ないように見える気がするんだけど」


  選定の前に先輩方はホールを後にしていたので、もしかすると部屋に先輩がいるかもしれないと、声をかけてから部屋に入ったがどうやら正解だった。先輩はベッドの上に座っている。


 先輩は、元気そうだ。

 きっとあの人口に慣れているのだろう。


「ほんの少し疲れました。都会、すごいですね」


「あー、人多かったよね。私も入学してまなしのころは、よく目まいがしたよ。懐かしいな…。あっ、座って座って!自己紹介しよ。横、空いてるから」


 そう言って自分の横をトントンとする。

 私は先輩が指した位置に腰を下ろす。


「じゃあ、私から言うね。名前は、テルラ・スリュー。気楽にテルって呼んで。天能は夢占い、あまり詳しくは見えないけど未来や過去を見ることがある。分からないこととか、相談とかは聞くよ。よろしく!」


  天能って、選定で調べられたやつだよね。

 夢占いか。なんかかっこいいな。

 私は、治癒だった。癒は十属性の中にもあるくらいで、珍しくもないだろう。まだ試したことがないから、魔法に勝るかは分からないけど。


若干、テル先輩の勢いにのまれそうになったが今度は自分自身の自己紹介をはじめる。この学校、明るい人をよく見かける。寮母さんもそうだったし。


「私は、リル・ライラントです。華月の里から来ました。天能は確か治癒の神力。詳しく存じませんが、癒の属性に近いものだと思います。これからよろしくお願いします」


 なんとか自己紹介を終えて、テル先輩が差し出した手と握手した。


 分からないことか。

 ないと言えば嘘になる。聞きたいことはある。

 せっかく聞いてと言われているのだし質問してみよう。


「あの、さっそくなんですが選定、特に魔力量のことについて教えてもらっていいですか?他の二つはなんとなく分かりましたが、魔力量についてよく分からないんです。平均値とか」


「いいよ。とりあえず選定で貰った紙見せてくれない?」


「あ、はい。どうぞ」


「…………」


 素直な私はローブのポケットに入れていた紙を先輩に見せた。

 先輩はそれをまじまじと見て動かなくなってしまった。どうしたのかしら。

 きっと返答の言葉を考えてくれているのよね?


「なに、これ。水鏡の術式みだれてなかった?」


「いえ、前の人はみんな普通に一喜一憂してるだけでしたし正常だったと思いますよ。あ、もしかして一般よりも低いとかですか?それならもう心の準備はできているので大丈夫で」


「違う!…違うよ。逆に高いよ!こんな数見たことない。本当はねあなたが、リルが魔力量の高いのは感じてたの。でも、こんなにとはいくらなんでも想像つかなかった。魔力量の平均値がわかる?」


「えーっと、私、平均くらいだと思っていました。けど、テル先輩の反応を見たら私は高いようなので、そうですね。3万くらいですか?」


 それを聞いてテル先輩はとんでもない、とんでもいうように首を振った。


「あのね、リル。魔力量は魔法を使えば上限はあれど、ふえるの。それは多分あなたも。入学したての新入生の平均値は35〜50よ。大人でも300が普通。ちなみに、私はよく優秀だと言われるけれど、それでも520なの。万の単位ではないのよ。こんなに高い魔力量の人見たことない。古代、魔法が一番発展していた時でもね、単位は千くらいだったと記録に残っているわ。しかも、あなたはまだ伸びる。夏の選定では一体どこまで伸びているのかしら。里でもリルは抜きんでて強かったでしょう?」


「あー、その、そうでもありません。私は、風の初級魔法が使えませんでした。だから落ちこぼれと里の住人に言われてきたんです。あまり魔法の実践はしていません。呪文は知り得ていますが。はあー。いえ、やれば他の魔法はそこそこできますよ」


「落ちこぼれ?きっと、見る目がなかったのね。リル、ここで魔法の実習を頑張って!そうすればきっと強くなれるよ!」

 

 テル先輩は、私を蔑んだ里の住人をあり得ないとううふうに笑った。

 私が高い魔力量を持っているのは嬉しい。お母さんとお父さん、喜んでくれるかな?


 にしても、平均と自分の数値に凄く開きがあるのには驚きだ。里の同年代の魔法使いよりも強くなるなんてことは出来るだろうか。


「テル先輩、私は強くなれますか?かつての賢者様のように。強くなりたいです里の人たちを見返したいのです」


「そうね。でも、賢者様も記録には残ってないけど魔法の強い時代にありえないほど魔力量が高かったと謳われているの。流石にそこを目標にするのは難解だけど、リルならあるいは目指してもいい領域かもしれないわね」


「そうですか。なんか嬉しいです」


「リル」


「はい?」


「あなたの魔力量は少々異質だわ。高い魔力量を持っている人は危険な目に遭うことが多々あるの。だから、あなたが自分自身を守れるようになるまでは偽っておいた方がいいわ。そうね150ベガというのが一番怪しまれなくていいかも。そして、徐々に強くなったように見せるの。分かった?」


「は、はい」

 

 勢いで返事をしてしまった。

 私はどうやら入学早々に隠し事をしなくてはならなくなった。


 テル先輩のいう通り私はまだ魔法の修行中だ。

 里の人たちより少し強いだけでは、それよりも強い人に狙われたら負けてしまう。それだけならまだ良い。その力を利用しようとする人も出てくるかもしれない。

 自意識過剰ではない。単に身を守るためだ。

 嘘は好きではないが、命の方が大切だもの。


 それにしても、賢者様か。

 光の賢者様は髪と瞳の色から恨めしく思うこともあるが、反面でこの世で最も強いことから憧れでもあった。

 そんな彼女を魔力量の高いことを知った私は今可能性を見た。


 目指そう、情景を抱いた光の賢者様を。

 強くなってみせる。

 里の人たちを見返すために!

 たとえ、空が飛べなくても、もう落ちこぼれとは言わせない。









これがヴェールの新しい章の始まりだった。

夢と目標を見つけた小さな魔女リル・ライラントの。



行く道の途中で何を見出し何を掴むのか、何が起こるのかを、その未来を、彼女はおろかこの世界の人は誰も知らない。


物語は一つ幕が閉じても終わることなく、また始まりを迎えるものだから。


だから、しばしの間、ここに彼女の物語の一部始終を綴ろう。

 





 

 ようやく、いよいよ物語の幕が上がったという感じです。

 未来で、リルはなにを掴むのでしょう?

 これからも一人の少女の物語をどうかよろしくお願いします。

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