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5話 入学式、選定、その結果

中に入ると、ホールは外から見るよりも広かった。(外見も十分スゴかったが、)これも、魔法だろうか。


「新入生、入場」


 掛け声と同時に会場にいた大勢の人から拍手の嵐が吹き上がった。


 私を含む新入生は先輩方がつくってくれている花道を通った。

 確か、2年生は新入生と同じくらいの人数だったはず。あの同室の先輩もどこかにいるはず。


 そう思って探してみたけれど残念ながら歩きながら、しかもこの人の多さでは見つけられそうではない。きっとここのどこかでは拍手をくださっているわよね。


 緊張して実際よりも長く歩いた気がした。

 紫の布と金糸で織られた床につく長めのローブを羽織っている人の所まであるいた。

 そして、校長先生の前で止まりこの場の全員が膝をつき尊敬の意を示す。


 初めに話したのは校長先生だった。

 顔は見えないのでよく分からないが、多分お爺さんの声だ。


「まずは謝らなくてはならないことがあります。今日、校長先生は訳あってこの場には来られません。校長先生からは大変申し訳ないとのことです」


 って、違うんかい!

  校長先生、違うんかい!

 立場の上の方の人となると、やすやすと人前には出ないものなのかしら。


 このお爺さんも相当なオーラがあるよね。詳しくわからないけどお爺さんの周辺、空気が違うもの。これが魔力というものなのかしら?これよりも上の立場の校長先生は、どれだけすごい人なの?


「私は、教頭のサナ・デイルと申します。皆さんが新たにこの学校の学友に加わったこと、喜ばしく思います。在学中は魔法科の皆さんも、魔術科の皆さんも、勉学に励みこの世界に魔法を残して下さい。そして、学校生活を存分に楽しんで下さい。ここでの生活は、一生に一度きりです。……」


 その後、十分くらい話が続いた後、すぐに魔法の選定についての話になった。どうやら入学式よりもこちらの方が大切らしい。


「では、これから皆さんに魔法科、魔術科の関係なく選定を受けて貰います。方法は簡単。水鏡の前に立って、手をかざすだけ。かざしたら、紙が出てきます。書かれているのは、魔力量、属性魔法、天能これら3つです。魔力量とは、自分の魔力の高さです。基本、これにより魔法の威力が決まります。まあ、魔法使いとしての適性度を測るためのものでもあります。属性魔法とは使いやすい魔法の属性のことです。魔法科の生徒でこれまでに魔法の練習をしてきた人ならなんとなく、理解している人も多いと思います。そして、天能。これについては恐らく新入生はほとんど知らないでしょう。一般の人から天能について語ることは推奨されていませんから。天能とは、多大な可能性を秘めた力のことです。魔法とは少し違い、時に魔法では出来ないことすら起こせるものもあります。魔力ではなく、体力を消費して使うことができるので魔術科の生徒にも使うことが出来るのです。最後に、法によりこの選定での魔力量以外の数値は我々先生を含める全ての人に知られる心配はありません。魔力量は授業の参考にさせていただきます。それでは一番前の人からどうぞ」


 んー。魔力量は、平均より高かったら良いな。

 それなら多少弱くても魔法使いになれるだろうから。属性は、先生の話された通りなんとなく自分でわかる。 

 にしても、天能?

 聞いたことないわ。よく分からないけれど、使い勝手の良いものがいいわ。

 魔力量はあまり期待していないから、魔法を補助するようなものだと助かるのだけれど。

 早く、選定をしてみたい。

 どんな結果でも受け入れる準備はもう出来ている。結果がどうあれその数値はもう決まっているのだ。変えられるようなものでもない。

 

 

• • • • • •


 先輩方は寮へと帰り、新入生だけが残された。


  意気込みは、覚悟は十二分に出来ていたのだが、私が入学式の前に並んだのが後ろの方だったらしく、半刻経った今、ようやく自分の番だ。


 皆、緊張しているらしく誰も声すら出さない。

 選定は滞りなく厳かな雰囲気で順調にとり行われている。反応はそれぞれで嬉々としてホールを出て行ったり、逆にあからさまに肩を落としてトボトボホールを後にするものも多い。


 これは、個人の点呼も兼ねているらしく新入生は順に名を呼ばれてから選定を受ける水鏡の場所まで行っている。


「リル・ライラント、こちらへ」

「はい」


 水鏡に立つのは今週二度目。

 自分の姿が映っているのを目の片隅に捉え、水面スレスレにそっと手をかざした。


 水が、手に絡みついてくる。

 私を読み取ろうとするように水が身体の中を駆け巡る感覚がする。

 なんだかボーッとしてしまって、意識が返った時には水はもう戻っていた。手は全く濡れていない。


 水鏡から顔を上げてすぐに丈夫そうな紙を裏向けにして渡された。


 新入生の誰もがしたようにそっと表へその紙をむけた。何が基準か平均かは知らない。ただら黒字のインクで選定の結果、私の情報は記されていた。



《 選定結果 》


・魔力量  450701ベガ


・魔法属性 水 風 光


・ 天能   治癒の神力【ルイース】

 




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