24話 天能と王都の城2
お久しぶりです。
更新遅くてごめんなさい。
そして、いつも読んで頂いている方は今回もありがとうございます^^
こんなにもとろい私に付き合ってくださって感謝しかありません。
この学校は移動がよくある。
入学してからの短期間に二度もあるなんて……。ヴァルがいなかったら、手段を持たない私はどうなっていたのだろう。
今、私は先生と雲より高い空を駆けている。
学校から飛びたって半日が過ぎようとしているが何一つ話していない。
先生が無口だからね!!
ヴァルと話すには問題ないだろうが、先生が黙っている空間において、そうする気になれなかったのでやはり静かにしていた。
速度は先日の課題より明らかに落ちていて、あの烏にヴァルが合わせてくれているのだろう。
やっぱり私の使い魔は優秀ね。
嬉しくて頭をガシガシ撫でたら少し鬱陶しそうにされたけど……………。
途中に飛びながらお弁当を食べた。寮母さんの作ってくれたものでを言いつけ通りに一つの包みは先生へわたす。中身はおにぎりが入っていたので前かがみになって、飛び続けてけれているヴァルの口に放り込んだ。
仲良く半分こだ。
一つ一つが手のひらくらいで満足感のあるお弁当であったといえる。
「……うぅーん……………」
銀の布団の上……じゃない、ヴァルの背で身じろぎした。
うっかり気が抜けて場所を考えずに寝ていたらしい。ふと目を開けると足元には星がいくつも輝いていた。
もちろん頭上にも同じような光が瞬いている。
「不思議、ここは……宇宙なの?」
どこだろうか?
頭の中はとてもすっきりしていて気持ちが良い。
おそらくは寝ている間に夜になったのだ。
でも私、こんな星だらけの所は見たこともないし、物語にも出てきたことなんてないわ。
ここは一体……………。
「そうだな、ギラギラしている。だか……もっとよく見てみろ。あの光は自然のものとはほど遠いぞ」
私、鳥目だから暗い所は見えにくいんだけど……。
ここはまあ、魔法でなんとかしてっと。
「うわぁ………」
見えたわ、見えた。
これは、建物?建物の中から光がでているわ。
普段見るガス灯の明かりとは異なり、揺らぐことなく光続けている。
あれは何なのかしら。
「電気という代物だ」
うわっ!
いけないいけない。思わず先生に対して失礼な悲鳴を上げる所だったわ。
今の今まで無言を貫いていた先生が急に口を開いたのだもの。身構えていない方向から音がしたら驚きくらいするわよ。
電気、聞いたことがあるわ。家にあった書物で、それに古代歴史でも習った。
《神々の眷属》が一人、聖女マリーネが考案したものだ。
電気とは見えないけれど魔力に近い存在で、便利なことに道具さえあればどんなことにも使えるらしい。
凄い、凄すぎる。なんて素晴らしいの?
電気は現実に存在するものだったのね!!
だって、だってよ。電気さえあれば生活魔法が使えなくても不便しない。
今の廃れかけた魔法にとって変わるものにもなるうるかも……。
「神々の眷属については知っているか?」
「はい。大まかには」
神々の眷属ら四人はもともと敵国キーテにおいて、我が国との戦争で王の元に直に就き、幹部をしていた。彼らはそれぞれに部門ごとの天才と呼ばれた異端者。
彼らは最前線でこの国を攻め込み、重要な戦力となり、だが多勢に無勢すぎて一度は死の淵を彷徨うほどの怪我を負った。
最後は何故か結局こちら側で戦い、おかげでこの国は戦勝国になれたのだ。
その死にかけていた間に、四人は同じ夢を見ていたらしい。
それ程に息の合う仲間であったということか……。
その夢をみた期間は長くても、僅か七日。けれど数十年分の人生を経験するものだった。
彼らは夢で見た。戦争などない平和で、魔法でなく電気で動く世界を。
だからか夢の世界のものを聖女マリーネは戦争の後、しばらくは家にこもった。
夢のことを記録するために。
神々の眷属らは、それらを作ろうと何度も試みた。そして幸運にもいくつかは成功して、現存している。
例えば大切なライフラインである水道、長距離を魔力無しで動ける蒸気機関車、遊びで制作されひと時流行った白い狐の面。
最後のは謎だが、大抵はものすごく役に立つものばかり。
でもまさか、電気ができていたなんて……………。
そうなのね。この星のような光はみんな電気から作り出されているのね。
「このヴェールでは1000年前の大戦の方が知名度があるが、こちらの者たちも偉大だ。夢だか空想かは知らんがおかげで世界は発展できたのだから」
そうね、先生の言うことは正しい。
500年前の彼らの方が役に立っことや、生活に関わりを持つものが多いというのに、何故、光の賢者や闇の賢者の方が有名であるか。
1000年前………まだ500年前の方が時代は近くにあるはずなのに。
シーユ様の何に人々を引きつける力があるのか。
目の前には巨大な建物が見える。
街の星、もとい電気よりも更に強い光を出す建物が。
外壁はとても高く、所々に見張り台らしき突起がポツポツと点在している。
城門なんて分厚い鉄に出来ていし。
うわっ、前面に金細工が施されているわ。
もういかにも、お金持ってて余ってます!みたいな……。
そんなに余ってんなら分けてくれても良くない?
私たち国民の納めた税金を無駄使いしてない?
税金泥棒?
そこまで考えて思考を止める。
これ以上悶々と心の中だけで抗議しても何も変わらないし、何より態度に出そうだ。
いけないいけない。
これじゃあ不敬罪にもなりかねないわ。
だって、王都で一番の建物と言ったらアレに決まっているもの。
これはそう、私たちの国のトップが住まう場所、王城よ。
それを一度睨みつけて今度はやはり立派な別のものを見た。
────────王都立第一魔法術学校
城程とはいかないが、私の第五学校よりも明らかに豪勢な……………。
「リル・ライラント、到着だ。ここでは我々のことをよく思わない奴もいるだろうから気を抜かないのが良いだろう。決して隙は見せるな。そして前のように問題事は起こすなよ」
「はい」
ただそれだけを答えた。
前のように?
去年とか一昨年に何かがあったのだろうか。
まあ、関係ないのでここは流しておこう。
ここから先は戦場だと、第五学校の少し話すようになったクラスメイトにアドバイスを貰ったので心に置いておこう。
入学してまだそんなに経ってないけど、学校を否定されることはムカつく。
天能が【療】の人は私とメリッサの二人しかいない。
そういう訳でこれは絶対に負けられないわ!
やってやろうじゃない!!