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21話 魔法使いの集会(波乱の幕開け?)

更新、遅くなってしまい申し訳ありません。

前回の回に続きを出しています。

すみませんが、そちらから読んでいただければ幸いです。すみません、なかなかまとまった時間が取れないもので……。

これからも頑張りますので、なにとぞお許しください。

 残念ながら属性の異なったユールとは教室で別れなくてはならなかったが、私はメリッサと癒の集会室へ向かった。


 影まった廊下の片隅にある、目立たない木扉。それはまるでお化け屋敷のようで……。

 これでは癒すというより、体調が悪くなりそうね。陽の光が差し込んでいないし。


 もともとは金のドアノブであろう、黒くくすんだ持ち手を下げた。


 ギィーーー。

 たくさんの初対面の人の前で緊張をしながら自己紹介をしなくてはならないのだと、第一印象が大事だと、たかをくくり部屋に入室したのに……。

 私もメリッサも別の意味で緊張することになった。


「今日は一年のリル・ライラントです。本日は2年間、天能を極めたく思い伺いました」


 がらんどうのメリッサともうひとりしかいない部屋で自己紹介するなんて……。

 それも入学当初、私たちの自己紹介なんてさせなかった人の前で。


「知っている。リル・ライラント、メリッサ・テナロール。座れ」


 軽くあしらわれ私たちはルナー・サキシアス先生、もとい、冷酷な担任の前に向かいあう形で座らせられる。 


 先生、全然癒し系統の力なさそうなのに。

 心の声が漏れたか否か、場にあいすぎる答えが返ってきた。


「校長からのお言葉だ。こう俺におっしゃられた。今年はサキシアスの天能属性の闇がいません。そして、珍しく癒属性が入学してきたというのにみあった先生がいませんね」


 ゴクリと口内に溜まっていた唾を飲み込んだ。この後の答え、概要は想像できる。


「あの人は、ああ、でも珍しいという意味では近いあなたがいるではありませんか。ちょうどいいですね。あなたが担当しなさい、そうおっしゃられたのです」


 怒っているのか、なんなのか。

 こめかみに青筋が浮かび上がっている。ふぇー、怖いです。


「利用できるものは使わないとね、教師も生徒も」


 メリッサの方にチラッと視線を向けると、明らかな不安が滲んでいる。あの整った顔が歪んでいる。


 私は、ひとまず我慢できそうなのでこのまま真剣顔をキープさせてもらおう。

 もとが平均的な顔なのにこれ以上下げることもない。なんだって努力がいるものよ。


 にしても校長の適当さ、失礼だけど呆れるわ。闇と光程とは言わないけど、癒しは闇から遠いものなのに。

 今更ながら校長先生に、会ったことすらないわ。学校のトップであり、代表者である人。


 予想だけど、校長先生はいい加減な年寄りのお爺さんね。絶対そうよ。


 適当な校長先生に、癒しを知らなさそうなサキシアス先生、それから魔法を習っている最中の生徒。

 言わずとも検討がつく、この集会の未来がわずかに垣間見た。

 一流は場所を選ばないとはいえ、これは流石にね〜〜。


 サキシアス先生、癒の天能ことを教えられるのかしら。天能は魔法と同じではなくて詳細は解明されていないから分野に分けて教えても難しい。だから、わけられて放課後にこうして集められるのに。


 本当に悪口ではないのだけど、不適合な人に教えられても伸びることはとても難しい。


「さて、まずは質問させてもらう。お前たちは学ぶ意欲を持ち合わせているか?」


 これは愚問だろう、私たちにとっては。

なんと、決まり切ったことを尋ねているのだろうか。答えなんて決まっているからここのボロっちい、クモの巣がついた扉を叩いたのに。


 メリッサからも同じ意志を宿しているのも伝わってくる。

 それを私ですら分かるのに。

 微笑んでしまうのを堪えるのに苦労した。

 

「当たり前ですよ。私は、私が持っている力を最大限有効に使いたいのです。強くなるためになら努力は惜しみません。先生は私が怠け者であるとお思いですか」


 言ってからやらかしたことに気づかせられた。

 質問返しをするなんて立場が下の人間がするには、あまりに生意気すぎる。

 謝ろうとしたけれど、口を開く間すらなく威厳を感じる声がした。


「そうですよ。あたいは、いいえ私は自らを高めたくここに参ったのですから」


 短く、だけどその言葉は先生の胸に刺さったのだろうか。

 分からない、けど、今一度しっかりと頷き話し始める。


「そうか……意欲があればそれで良い。しかしリル・ライラント、質問に質問を返されたのは2回目だな。一度目はもう随分と昔のことだが」


 サキシアス先生はそれ以上詳しくは語らわずに鼻で笑って、何やら白い紙を机に置いた。

 

「さて、これが一年の計画表だ。俺に天能自体を教えられることはできんが……」


 出来ないのね。

 言い切ったわね。

 なら、先生はどうやって計画を達成するのよー。

 ………ふーん。計画書はなかなかのものね。このザッパリ、さっぱりした先生にしては。

 ん?ザッパリは校長先生だけか。

 

「協力することは可能だ。例えば実習のイベント情報を提供する、とか。引率はするし、先生業はなかなかに情報が回ってくる職業でな」


 要するに、先生は私たちにやる気が無ければ行動しないつもりだったのね。校長はよく、この先生を信じて顧問に任命したわね。

 こりゃあ、魔法が消えつつある訳だわ…。

 

「ところで近々、さっそくイベントが開催されるのだがどうだ」


 もちろん、

「「やります。行きたいです」」


 セリフがかぶった。

 ねぇ、先生分かるでしょう?

 私たち、十分にやる気があるのよ。

 私は人一倍に強くなりたい。なにせ、賢者様を超える賢者にまだ程遠いからね。


 イベントの内容は大体こんなの。


 イベントよりは試合に近いらしい。

 どの、天能の集会でも開かれる大会で単純に強さを競う。火なら破壊力を、闇なら呪詛などの強さを、癒ならどれくらいの傷を治せるかを。

 より詳細を言うなら、癒の場合、何度かの試合に分けて強い人が残れる。被験者は実際の怪我人。

 全学生が会場と定められた場所に集い、各々の能力を発揮する。

 数百単位の生徒が集まるから、勝ち残るのはなかなかに容易ではない。

 優勝を目指すのはもちろんだ。

 そして、本来の目的の世界と自分の力の差を感じることは目的の一つ。


 私は今日や昨日、明日等の授業がみっちりな理由に合点がいった。

 この大会、来週だわ。

 早い、準備期間がないわ……。

 よく考えると、天能は練習しても強さが変わらないものなのでなるようになるだろう、そう思い至った。

 あまり、目立ちたくは無いから試合は派手にせず、優勝を目指そう。 

 賢者になりたいのに、目立ちたくないのは矛盾している。


 その考えに辿り着いくのはあと少し先の未来。


「ところでサキシアス先生、先生の天能は闇の中でもどんなのですか?やはり、呪いとかですか?」


 これは単に理由もなく聞いてみただけ。

 思いつきと言われれば、そうなのだろう。

 闇の天能は大多数が呪いなのだが………。


「さあ、どうだろう」

 

 曖昧な答えでなにも分かりやしない。

 まあいい。答える気がないなら、答えたくないなら。

 広めたくない情報の一つや二つくらい、人は抱えているものだ。まして、私がそれを知ろうと得がない。

 だから、今はそれよりも……


「サキシアス先生、メリッサ。掃除よ、掃除!!!」


「……」


「はい?リルどうしたの急に。まだ天能の集会は初日なんだよ。確かにこの部屋は汚いけど」


 メリッサは私の突拍子のなさに目を丸くして驚き、先生は……そのまま変わらない。


「こんな部屋にいたら療を習う前に私たちが病気になるわ。だからみなさん掃除です。先生、掃除具はどこですか」


 そうしてこの後、私たちは(もちろんのこと先生も)日が落ちるまで部屋の清掃に勤しむのだった。


 


 

よろしければ、ダメ出しでも構いませんので感想欄で意見をお寄せいただければ、と。

(本当に、よろしければで結構ですので)

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