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いつぞやの校門での鈴音との一件があって以来、幼馴染みの様子がおかしい。
何だか、幼馴染みの様子がおかしくなった。
「雷生。良かったら、お昼、私と一緒に屋上で食べない?」
な、なんと。
開いた口が塞がらなかったことはいうまでもない。
「今日ね。お弁当作ってきたの。私のお手製よ。良かったら食べて」
な、なんと、お弁当を作ってくれた。あの俺に靴磨きをさせたり、手に口づけをさせたり、俺を家来扱いさせていた、あの怜香が、だぞ、諸君!
かわいい花柄の巾着袋から取り出す弁当箱。
中には、赤いウインナーと玉子焼きと唐揚げ。そして、おにぎりが2つ。うまそうである。
「私ね、あなたのために愛情こめて精一杯作ったんだからね。もう、感謝しなきゃダメだぞ」
ガッ、ハッ。
言わずと知れたこと。俺は、昇天した。鼻血ブー、である。
「ねえ。あ~んしてあげようか」
「え、いいの。本当に」
「うん。だってあなたのために愛情こめて作ったんだもの」
「うん」
「はい。あ~ん」
俺の口の中でタコさんウインナーはおどりを始めた。
神様仏様。この幸運に感謝いたします。
俺は、そうやってなぜかわからぬ幼馴染みのひょうへんぶりを心の底から喜んだ。




