プロット2
前ページのプロットを基に、細かい部分まで詰めたプロットの第二弾です。
第一弾と被る部分も多くあります。
本文ではところどころ変わってますが、大筋は変更なしです。
ガラスの国
ラルゥがガラスの砂漠を歩いていると、木の根元に倒れている人を見かける
慌てて近づいてみると、人間ではなくガラスの人形
しかしその人形が動いて喋り出す
人形を背負って近くの洞窟へ
しばらく眺めていると、人形が目を覚ます
「本当に起きた……」
「ここは……? あなたは……この手、なんですか、これは!」
自分のガラスの腕に発狂して、必死に表面をこするガラス人形
「もしかして、あなたは人間なの?」
「そうに決まってるじゃないですか!」
話を聞いてみると、「カノン」という名前は憶えているがそれ以外は何もわからないという
「それじゃあ、近くの街まで一緒に来る? 誰かあなたのことを知ってるひとがいるかもしれないし」
「でも、こんな身体だとおかしな目で見られたりしないですか?」
「マント貸してあげるから。隠せば大丈夫だよ」
街。誰に話を聞こうかと悩みながら歩いていると、
「お? また会ったな、ラルゥ」「アーゴットさん」
彼に話を聞いてみることにする
「身体がガラスになっちまう病気? さぁてなあ。そんな妙な病気は、とんと聞いたことがねえが」
「ただまあ、この国はガラスの雪が降るぐらいだからな。そんな病気があっても不思議じゃねえや」
「ガラスの雪って、どうして降るの?」
「俺は詳しくは知らねえが、なんか何十年か前にいた王様が欲に目がくらんだせいだとか聞いたなあ。気になるんなら、旧王都にでも行ってみたらどうだ?」
「ありがとう。ところで、マント1枚売ってくれる?」
ラルゥ「こんなことなら、あそこから直接王都へ行けばよかったかな……」
砂漠を歩いて、なんとかカノンと出会った辺りまで着く。
そこで野宿することに。
雪が降る。
カノンの記憶3
今まで優しかったはずの母親が、いつしか言動がちぐはぐになっていく。カノンに辛く当たり散らすようになる。
だけどいつか、また昔の優しいお母さんに戻ってくれると信じていた。
カノン「お母さん、私はいつまでこの部屋で閉じこもっていればいいの?」
母親「病気が治るまでは我慢しなさい。そんな身体で外へ出たら、みんなも驚くでしょう」
カノンの記憶4
母親が自分を叩き潰し、箱詰めにした
そのとき母親が、何かしゃべっているが、カノンには聞こえない
カノン「ラルゥはどうして私に付き合ってくれるのですか?」
ラルゥ「似てるからかな。昔一緒にいた子に」
カノン「ガラスみたいな子だったです?」
ラルゥ「そうじゃなくて。性格とか色々」
カノン「ラルゥはどうして旅をしているのですか?」
ラルゥ「ナイショ」
旧王都。
カノン「私、ここ知ってます。あちこち変わってるけど、私はこの街で育ったんです」
カノンの家へと向かう。しかしそこには既に違う人が住んでいた。
「この家に前に住んでた人? 確か、処刑された錬金術師が住んでた曰く付き物件とは聞いてるけど」
夜は宿屋に泊まる
カノンの記憶2
父親を見かけない。そのことを母親に尋ねる、
母親「お父さんは死んだの」
カノン「大丈夫だよお母さん。私がいるから」
母親「……そうね」
なぜか冷たい母親
カノン「私の父親は、きっと錬金術師だったんです」
神使の家へ
ガラスが人間のように動くなんてありえない。
そんな膨大な魔力はそう簡単には込められない
魂がなければ
最初はぞんざいに追い返されそうになったが、カノンが自身がガラスでできていることを伝えると、慄きながらも家に入れてくれた
神使から教えられる 錬金術がタブーとなった歴史を
カノンの父親は、国王から、魔法で貴金属を作り出すようにと命じられていた。
しかし彼にできたのは、ガラスを生み出すことだけ。このままだと研究費用が入らなくなる。
当時、カノンの魂をガラスへ移すことはまだできていなかった。
彼は焦った。
そしてついに、ガラスをあたかも貴金属のように国王に披露してみせるという悪法に手を染める。
その方法が、空からガラスを降らせるというものだった。単純にガラスを作っただけでは、それはガラスだとすぐバレる。だが空から降らせるなら、多少は誤魔化しがきくはずだ。
「魔法は人の認識が大きく影響します。そして頭上というものは誰にとっても死角、認識の外なのです。そこならば、比較的反魔法の影響は受けにくいかと」
それを見た国王は大いに喜び、すぐに人を集めて大量生産するようにと厳命する。
そのプロジェクトはすぐさま実行され、国中に大量の光の雨が降った。
人々は喜んだ。しかしそれは一時のことだった。
すぐに、その光が宝石などではなく、ただのガラス片であることが明らかになった。
カノンの父親は処刑された。
話を聞き終えた頃、家に警吏が踏み込んでくる。
危うく捕まりかけるが、ラルゥが暗器で応戦。なんとか難を逃れる。
どうやら神使に嵌められたらしいと気づく。
カノンの父親は本当に極悪人だったのか。
父親を信じたいカノンに、そういうこともあるんじゃないかなとラルゥ。
父親だからといって特別に擁護したがるカノンの気持ちが、ラルゥにはわからない。
夜は、街の近くで野宿する
カノンの記憶1
父親が自分を見て歓喜している
しかし自分はガラスの身体に戸惑っている
父親「心配しないでいい。いずれ元の身体に戻るから」
カノン「私は、病気だった」
カノンが昔通っていた病院へ
そこでもカノンは正体を明かす
見覚えのある顔の医者の名前を呼ぶと
「いや、私は……なんでもない」
何かを言いかけてやめる医者
カノンが読んだ名前は、本当は医者の祖父の名前
その昔、カノンは不治の病に侵されていた。
今は治せない病も、将来は治療法が見つかるかもしれない。
カノンの父親は錬金術師だった。
禁断の術でカノンの魂をガラス人形へ移し、いつか治療法が見つかればまた人間の身体に移し直そうと考えていた。
父親は処刑される間際、なんとかカノンの魂を人形へ移すことに成功する。
「私が口で説明するよりも、直接会ったほうがいいだろう」
医者がある場所を口にする
カノン「そこには何が……?」
医者「君の家だよ」
そこにいた老年の女性。カノンは駆け寄る。「お母さん……?」
しかしそれは母親ではなく、もう一人のカノンだった。
人形は動き出した。それは確かにカノンだった。
しかし、人間のほうのカノンもまた、カノンのままだった。
詐欺師の家族と罵られるカノンと母親。
母親は2人のカノンを別の部屋に隔離し、世話を続ける。
そのうちにどちらが本当のカノンかわからなくなる。会話が噛み合わなくなる。
それでも母親は耐え抜いた。亡き夫の悲願を叶えるため。大切な娘のため。
そんな苦悩の日々は、ある時呆気なく終わりを告げる。
カノンの病の治療法が見つかったのだ。
人間のカノンは、見違えるように元気になった。
しかしそうなるとガラスのカノンは必要ない。
それまでの苦悩に完全に精神が摩耗していた母親は、ガラスのカノンがすべての元凶であるように思えた。
カノンを叩き潰し、箱に詰め、誰もいないガラスの砂漠の奥深くに埋めた。
死の間際、カノンの母親は人間のカノンに告白した。自分が犯した罪を。
人間のカノンを見るたびに、もうひとりのカノンのことを思い出して辛かったと。
自分はただのスペアだったんだということをしって落ち込むカノン
家を出ようとしたところで、警吏に囲まれる
どう抜け出そうかと暗器を構えたラルゥに、カノン「もういいのです」
自ら警吏に処分されにいく
咄嗟に腕を掴んで止めたラルゥだが、カノン「放してください!」カノンの腕が折れる。
カノンはそのまま警吏に粉砕され、捨てられる
次の日、ラルゥはカノンと出会った砂漠へ
木の根元を掘り進めると、木の箱が見つかる
背嚢からカノンの手首を取り出し、念じる
ガラスの砂が寄り集まって、カノンの身体が形作られる
カノン「どうしてですか?」
ラルゥ「強く念じれば、私でもカノンを戻せるみたい。カノンのお父さんは、きっとこのためにガラスの雪を降らせたんだろうね」
カノン「そうじゃないです!」
ラルゥ「その箱の中を見て」
箱の中に手紙
ラルゥ「木の箱って聞いて、おかしいと思ったの。そんな腐りやすいもの。カノンがこうして出られたのも、木の箱に入れられたからなんだろうって。それに、この木。この木はたぶん100年前からここにあった。これはまるで、墓標みたいでしょう? だからきっと、カノンのお母さんはカノンのことを嫌ってなんか、いなかったんじゃないかって」
手紙を読む。
カノンを見つけてくれた人へ。この子は優しい子です。そして可哀想な子です。無責任な頼みかもしれませんが、どうかこの子を可愛がってあげてください。
カノン、酷いことをしてごめんなさい。最後まで守ってあげられなくてごめんなさい。
だけど、これだけは嘘じゃないの。あなたも、私の大事なカノンです。
私の親愛なる娘、カノンへ
自分を叩き潰したときの母親の言葉。
ごめんね。
愛してる。
カノンが涙をこぼす
目から、ガラスの欠片がぽろぽろと
それをラルゥが優しく抱きしめる
カノン「これから私、どうしたらいいんでしょう」
ラルゥ「良かったら、私と一緒に旅をしない?」
カノン「何のための旅ですか?」
カノン「それはね。まだナイショ」
【ラルゥの過去エピソード】
罪人の子供として奴隷にされたラルゥ
一緒に奴隷になった子は、怪我をしたまま放置されて死んだ。
その
ある日一人の男が客として来る
「ここで安く奴隷が手に入ると聞いたのだが?」
「へい旦那。例えばコイツなんかは……」
「安すぎるな。本当にまともに動くのか?」
「それはもちろん」
ラルゥが買われる。
夜、男の寝床に忍び込むラルゥ 男を暗殺しようとするが、失敗
ラルゥと奴隷商人の目的は、客を殺し、ラルゥを使い回し、何人もの客から金をせしめること
男は奴隷ギルドの旅の傭兵
もしこの物語がもっと複雑なタイプのものであれば、ここから更に第三弾のプロットを作成するところでした。そこでは、シーンの数や、シーンごとの語り手、時系列などを綿密に決めていきます。
しかし、この物語は語り手がラルゥ一人で、時系列も素直にまっすぐ進んでいくものなので、第三弾は作りませんでした。
途中、続きが書けずに悩むことも多かったですが、なんとか書き切れて良かったです。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!