プロット1
ここからはおまけとして、本文執筆前に作成したプロットを公開します。
ガラスの国
主人公・ラルゥがガラスの砂漠を歩いていると、倒れている人を見かける
近づいてみると、人間ではなくガラスの人形
しかしその人形が動いて喋り出す
よくわからないながらも介抱する
話を聞いてみると、「カノン」という名前は憶えているがそれ以外は何もわからないという
仕方なく一緒に行動することに
ある夜、カノンがうなされている
今まで優しかったはずの母親が、いつしか言動がちぐはぐになっていく。カノンに辛く当たり散らすようになる。
だけどいつか、また昔の優しいお母さんに戻ってくれると信じていた。
しかし最後には、母親は自分を叩き潰し、箱詰めにした
その昔、カノンは不治の病に侵されていた。
今は治せない病も、将来は治療法が見つかるかもしれない。
カノンの父親は魔法使いだった。
禁断の術でカノンの魂をガラス人形へ移し、いつか治療法が見つかればまた人間の身体に移し直そうと考えていた。
カノンの父親は、国王から、魔法で貴金属を作り出すようにと命じられていた。
しかし彼にできたのは、ガラスを生み出すことだけ。このままだと研究費用が入らなくなる。
当時、カノンの魂をガラスへ移すことはまだできていなかった。
彼は焦った。
そしてついに、ガラスをあたかも貴金属のように国王に披露してみせるという悪法に手を染める。
それを見た国王は大いに喜び、すぐに人を集めて大量生産するようにと厳命する。
そのプロジェクトはすぐさま実行され、国中に大量の光の雨が降った。
人々は喜んだ。しかしそれは一時のことだった。
すぐに、その光が宝石などではなく、ただのガラス片であることが明らかになった。
カノンの父親は処刑された。しかしその間際、なんとかカノンの魂を人形へ移すことに成功する。
人形は動き出した。それは確かにカノンだった。
しかし、人間のほうのカノンもまた、カノンのままだった。
詐欺師の家族と罵られるカノンと母親。
母親は2人のカノンを別の部屋に隔離し、世話を続ける。
そのうちにどちらが本当のカノンかわからなくなる。会話が噛み合わなくなる。
それでも母親は耐え抜いた。亡き夫の悲願を叶えるため。大切な娘のため。
そんな苦悩の日々は、ある時呆気なく終わりを告げる。
カノンの病の治療法が見つかったのだ。
人間のカノンは、見違えるように元気になった。
しかしそうなるとガラスのカノンは必要ない。
それまでの苦悩に完全に精神が摩耗していた母親は、ガラスのカノンがすべての元凶であるように思えた。
カノンを叩き潰し、箱に詰め、誰もいないガラスの砂漠の奥深くに埋めた。
死の間際、カノンの母親は人間のカノンに告白した。自分が犯した罪を。
人間のカノンを見るたびに、もうひとりのカノンのことを思い出して辛かったと。
カノンは、次第に記憶が戻っていく。
しかしまさか、人間の自分が生きているとは思わない。
母親にもう一度会うため、自分の故郷を目指す。
そこにいた老年の女性。カノンは駆け寄る。「お母さん……?」
しかしそれは母親ではなく、もう一人のカノンだった。
自分はただのスペアだったんだということをしって落ち込むカノン
そんなカノンにラルゥが声をかける
「行こうよ」
「どこに?」
「探しに行くの。私がずっと探していたもの……死に場所を」
死の間際、おじいちゃんは言った。死ぬその瞬間まで笑っていなさいと。
だから死ねなかった。私はずっと探していた。
ここでなら笑って死ねると、そう思える場所を。
「笑って死ぬ、か。そんな場所が、あるのかな」
「きっとあるよ」
「そっか。じゃあ」
二人は歩いていく。光り輝くガラスの海を。
作品説明にも書いたように、この作品はらるるさんという方のイラストを基に構成しています。
イラストの中でキーとなったのは、ゴーグルと雪でした。
ゴーグルをつけているということは、目を保護する必要があるということ。その理由として真っ先に考えられるのはバイクに乗っているというものですが、某パースエイダーの人と被りそうだったのでこれは避けました。
次に考えられる理由としては、砂嵐吹き荒れる砂漠を旅しているというものですが、しかしイラストの中では雪が降っています。
これらの問題に整合性を取るために、ガラスの雪が降るという設定にしました。絵面的にも幻想的で良かったので。
ラルゥの相棒となるキャラクター(カノン)は、絶対に必要だと思いました。ラルゥがクールなキャラなので、対象的に明るい性格のキャラにしたいと考えていました。
相棒をガラス人形という設定にしたのは、ガラスの雪が降るという世界設定を最大限に生かすためです。この設定にする前は、雪が降る原因は作中では語らないつもりでした。