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《天空ノ塔》へ── 3
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━━ビュォオオオ
翼が風を斬る。
ラシュフェーニカは自身が火ノ竜の一族であることを《凛浄》の仲間に明かし、《凛浄》の者達に「カグヤ様を探しに行きます」と残し、旅立った。
背には仲間であり友である、補佐官の風蘭と、カグヤ様の主治医であるツェルヴィーを乗せて。
ラシュフェーニカは竜の姿となり天空ノ海を舞う。
天空ノ巫女──カグヤ──明が今何処にいるのか、何をされてらっしゃるのか、一切手がかりは何も無い。
そして同時に行方不明になった、天空ノ巫女──カグヤの護衛部隊──《コトハノヤ》の数名が何処に居るのかも、同時に何一つ手がかりは無かった。
それでも、ハッキリしていることが在った。
「ラシュフェーニカ、
ラシュフェーニカ」
背からツェルヴィーが話しかけ、ラシュフェーニカは視線を背へと向けた。