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~約束の日~


 上野駅の改札で待つ時間がもどかしく感じ、どんな顔で会えばいいのか、色々考えているうちに僕の心は弱くなっていく。人だかりが落ち着くことのないこの場所は僕の心と同じだ。

 何千人の中から彼女の姿を見つけた時、自然と涙がこぼれ落ちる。

僕を見付け走り寄ってくる彼女。僕は人目も憚らず、彼女の胸の中で泣いた。彼女は僕の頭を撫でながら、全てを受け止めてくれた。

 僕は何も知らなかった。大人になるということが、こんなにも孤独で、こんなにも恐く、自分の存在が押し潰されそうになることを。

「ねぇ、窮屈になってる君の心を開放しに行こう」僕の腕を強引に引っ張る。

 彼女は何も変わっていない。変わらないことも成長の証なんだと気付かされた。



 何もない草原で空を見上げる。太陽が雲で顔を隠し、また覗く。今度は彼女が太陽を隠す。

僕の唇を彼女が隠す。彼女は何も言わないけど、それでいい。

 お互いに空を見ながら手を取り合う。「僕が大人になったら、普通の大人になると思ってた。だけど、普通なんてものは存在しない、だけど詩織さんにとっては普通以上の存在になりたいんだ……」

「え?告白?意味分かんないよ」彼女は優しく微笑みかける。

 お互い何か欠けているなら、二人で補っていけばいい。僕らは始まったばかりなのだから。




おしまい

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